「異常に」安い食べ物に、「安全」?

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例の「不二家のシュークリーム」は105円、だそうです。

消費者が105円という「異常に」安いのものを欲しがりながら、
同時に、そこに食の「安全」を求めるというのは、
よく考えてみれば矛盾してるんじゃないでしょうか?

僕は、
「消費者が必要以上に安いものを買い求めることは、
自分たちの食の安全を自ら脅かすことだ」と思います。

物価も人件費も高い日本で
「売価105円」のシュークリームをつくるということは、
いったいどういうことなのでしょうか?
すこし想像してみたいと思います。

消費者が安いものを買い求めるようになると、今までの値段では売れなくなるので、
企業は値段を下げるためにコストを削減しようとします。
そして、コスト削減の一環として、
生産現場での時間当たりの作業量は増え、現場はすごく忙しくなります。
だんだんストレスも蓄積されていくでしょう。
さらに、安くても利益を出すために、大量に売らなければなりません。
そこでもまた、生産現場の仕事量が増えます。

結果として、当然、現場での間違いや見落としは多くなります。

「売価105円」を実現させるなら、なおさらでしょう。

「じゃあ、無理なコスト削減はやめればいいじゃないか」と言う人が
いるかもしれません。
しかし、企業はただ消費者の「安いものを買いたい」という意思表示に
従っているだけです。
もし、企業が消費者のこの声に従わなければ、
だれもその企業の商品を買わなくなり、その企業の従業員は職を失うことになります。

つまり、「105円のシュークリームを買う」ということは、
消費者が企業にコスト削減の圧力をかけて、

「とにかく安ければいい」

「心のこもった食べ物はいりません」

「丁寧に作ってくれなくてけっこうです」

というメッセージを伝えているのと同じ、

………という風にも考えられるのです。

消費者が、必要以上に安いものを追い求めて、企業をコスト削減に駆り立てること。
それはめぐりめぐって、結局は、消費者の食の安全を脅かすことにもなりうるのです。
そのことを、私たち消費者はもう少し考えてもいいのでは、と思います。


すこし、話は変わりますが、

「食べること」は、「医療」と同じくらい大切なことだと思います。
どちらも命につながることですから。

もしも、病院でうける治療の価格が激安だったら、だれでも
「ちゃんとした治療をしてもらえるんだろうか?」
と不安になるはずです。

しかし、同じように命に関わるはずの「食べること」の場合は、
値段が激安でも、だれもそんなことは気にせず、
逆に、安ければ安いほど人々が飛びつく、ということになりがちです。

どちらも「命に関わる」ことなのに。

このように考えると、
「人の命」を軽んじているのは、消費者の方も同じなんじゃないでしょうか?

いつも「105円のシュークリーム」や、その類のものを買っている人は、
自分や大切な人の命を軽んじている、ともいえます。
そういう人には、食品業界が不祥事を起こしたとき、
「人の命に関わる」食品の大切さを語る資格はないのではないでしょうか?


僕は、食品会社のずさんな管理は許されないことだと思いますし、
不祥事を起こした企業の肩を持つつもりもなければ、
安いものを食べるのは絶対ダメだと言っているわけでもありません。

ただ、私たち消費者はどうだったのか、
自分たちがなにげなくしていた、
「異常に安いものを食べる」ということの意味を
すこし振り返って考えてみてもいいのでは、と思ったのです。

買う前に、
「105円」という値段が、「異常な値段」かどうか考える余裕があってもいいかな、と。


「いいものを少し食べればいい」

これは、グッチ裕三さんの言葉らしいです。
こういうことを、自分も含めてみんな忘れてしまってることが多いんじゃないかな。

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