XHTMLからHTML5への時代の変化(2009年9月2日執筆)

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(下記の文章は、2009年9月2日に、ぼくが当時一緒に働いていた方に書き送ったレポートです。)

■はじめに

「XHTML」と、HTMLの新しい規格である「HTML5」に関してご報告させていただきたいことがあります。

結論を先に言わせていただくと、今後、●●●で作成するWEBサイトは「XHTML」ではなく「HTML5」に照準を合わせていったほうがいいのではないかと思います。

その理由を、以下で説明させていただきます。

■XHTMLの失敗

まず、なによりも、XHTMLが当初、計画されていたよりも普及しなかったという事実があります。

厳密な仕様を強制するXHTMLは普及しにくかったようです。

このことについては、XHTMLの創始者であるティム・バーナーズ・リーでさえ、XHTMLの普及の失敗を認めています。

(下記のWEBページより、「ティム・バーナーズ・リー」の発言の部分の抜粋)

「数年が経過した今となっては、いくつかのことがよりハッキリしてきました。HTMLを徐々に進化させるのは必要です。世の中を一気にXMLにスイッチするという試み――属性値をクオートで囲むだとか、空タグにもスラッシュを付けるだとか、名前空間を使うといったことも含みます――、そうした試みは、まったくうまく行きませんでした。HTMLを作っている多くの人々は、主にWebブラウザが特に不平をいわないからという理由で移行しませんでした」。

(下記のWEBページよりの抜粋)

XHTMLへの移行やセマンティック・ウェブの普及がなぜ起こらなかったかといえば、それはHTMLに比べて扱うのが難しすぎたからでしょう。

(下記のWEBページよりの抜粋)

バーナーズ・リーは先に挙げた2006年10月のブログエントリのなかで、新たにHTML作業部会を発足する意向だと明かします。
XHTMLへの全面移行というシナリオが無謀だったことを認めたわけです。

なぜ今また出てきたのか
HTML5が持つ本当の意味
@IT総合トップ > テクノロジー > NewsInsight > HTML5が持つ本当の意味

http://www.atmarkit.co.jp/news/200801/25/html.html

■余談:XHTML2の策定の打ち切りに関して。

以下は、余談ですので読み飛ばしていただいてもかまいません。

2009年07月03日に、XHTML 2.0の策定が打ち切りになりました。

(下記ページより抜粋)

「XHTML 2.0
XHTML Familyの次期バージョンとして策定されていたが、W3Cは2009年07月03日に策定の打ち切りを決定し、今後はHTML5にリソースを注ぐものとした。理由として、XHTML 2の市場はHTML 5に比べて非常に小さいことがあげられている。」

Wikipedia
Extensible HyperText Markup Language
XHTML 2.0

http://ja.wikipedia.org/wiki/Extensible_HyperText_Markup_Language#XHTML_2.0

しかし、これは「XHTMLがなくなる」ということではありません。
ここは誤解されやすいので、気をつけなければいけません。
(はじめは僕も完全に「XHTMLがなくなってしまうんだ!」と思っていました(苦笑)。)

まず大前提として、XHTML2.0と、HTML4 や XHTML1.0 や XHTML1.1 は、本質的にまったく異なるものだそうです。

このことについては、以下のページの漫画による解説がとても分かりやすくて参考になります。

“Misunderstanding Markup” 日本語訳
http://standards.mitsue.co.jp/resources/mm_comic/

このページの説明によると、

「XHTML 1.0は、HTML 4を単純にXML構文のもとで定義しなおしたもの。」

「XHTML 1.1も同じように再定義された。」

ということです。

それに対して、「XHTML 2 は HTML 4と共通点がほとんどない」そうです。

「XHTML 2は思想的に「純潔」な語彙を一から作ろうと計画していたもので、後方互換性についてはほとんど考えられていなかったんだ。失敗する運命にあったわけさ。」

というわけで、W3Cは2009年07月03日に、XHTML2の策定の打ち切りを決定しました。

しかし、(XHTML1.0系の後継である)XHTML 1.2の策定作業は今も続けられています。

なので、XHTMLがなくなってしまうわけではありません。

あと、ちなみに、XHTMLの仕様の一部は、HTML5に取り入れられています。

■HTML5のマルチプラットフォーム化(クロスプラットフォーム)

これについては、以下のページがとても参考になります。

HTML5の進化、Web標準の進化はメガトレンドになる
http://www.publickey.jp/blog/09/html5web_1.html

(以下、上記のページより抜粋)

「グーグルの及川氏が、Webアプリケーションでネイティブアプリケーションと同等のものを目指す、と明言しています。」

「モバイルとPC、そしてそのほかのデバイスのアプリケーションもWeb標準に統一化されていく」

「いまはケータイ専用のWebサイトが数多くあり、そこではケータイ専用の技術が多く使われています。しかし、iPhoneとAndroidの登場などによってデバイスが進化し、PC用に作られたWebサイトをケータイからも見る、という方向に向かっています。グーグルの及川氏も田村氏も、ケータイ専用Webはなくなり、Web標準に一本化されていくという見方で一致しました。」

「そしてこの進化の方向はモバイルやスマートフォンだけでなく、例えばカーナビの画面、デジタルサイネージに使うディスプレイなど、多くのデバイスで動作するアプリケーションがHTML/CSS/JavaScriptのWebテクノロジーを基盤に統一されていくシナリオの一部であると僕は思います。」

「Webアプリケーションがネイティブと同等になるのであれば、モバイルでも機種に依存した専用アプリケーションを作るより、標準技術を基に汎用性のあるアプリケーションを作る方が効率的です。」

■Googleの思い描く未来のための「HTML5」。

Googleは、自分たちが作り出すWEBアプリケーション(そして、最終的にはWEB OS的なもの)を、PCアプリケーションのスタンダードにしようと考えているのでしょう。

そして、WEBアプリケーション(WEB OS的なもの)が、現在のクライアントOS・クライアントアプリケーションを駆逐すれば、IT業界におけるGoogleの地位は今よりももっと確固たるものになるでしょう。

そのために、Googleは、WEBアプリケーションの土台となるHTML5の普及を後押ししています。

Googleの狙いとしては、将来的に、パソコンからでも、携帯電話からでも、同じ環境でおなじGoogleのWEBアプリケーションを利用することができるようにすることを目指しているのでしょう。

■その他の組織の思惑

W3C内に、HTML5の策定作業の作業部会があります。

「この作業部会にはACCESS、AOL、アップル、グーグル、IBM、マイクロソフト、モジラファウンデーション、ノキア、Operaなどの代表者を始め、実に500名にものぼる参加者で構成されています。」

これらのビッグネームの組織たちも、Googleと同じように各々、将来を見据えており、その計画の柱の一つが「HTML5」なのでしょう。

なお、これだけのメンバーが揃って議論した結果出来上がった「HTML5」は、ある意味、WEBの未来を決定付けるほどの重要事項であると言えます。

■余談:NOKIAのノートパソコン市場(ネットブック市場)参入と携帯電話の未来に関して。

以下は、余談ですので読み飛ばしていただいてもかまいません。

携帯電話に関する話ですので、●●さんにも関係あるかと思い、敢えてお話させていただきます。

2009年8月24日に、携帯電話業界の巨人、NOKIAがノートパソコン市場(ネットブック市場)に参入することを決めたのも、携帯とPCのプラットフォームが同じHTML5になることが確実であることをNOKIAが予見しているからかもしれません。

現在の携帯電話が持つ、PCとは違う特異性や、携帯電話だけの技術などは、そう遠くない未来に価値がなくなり、失われてしまうものであることを、NOKIAは分かっているのかもしれません。

NOKIAは、現在のような、PCとは異質な存在である携帯電話に見切りをつけて、捨て去ろうとしているのではないかと思います。

もしかしたら数年後には、NOKIAは携帯電話を作っていないかもしれません。

それどころか、いわゆる「携帯電話」という形態そのものがこの世の中からなくなってしまうかもしれません。
(かつての、「ポケベル」のように。)

なので、NOKIAは、PC市場に参入してくるというよりは、むしろ、沈むと分かっている船から、新しい船に乗り移ろうとしているだけなのかもしれません。

(これらはすこし極端な意見(行き過ぎた妄想)かもしれませんが、それでも、「パソコンのモバイル化」と「HTML5のマルチプラットフォーム化」により、現在の形態の「携帯電話」のプレゼンスが低下することは間違いないのではないかと思います。)

ちなみに、NOKIAも、前述のHTML5の策定作業の作業部会に参加しています。

なので、NOKIAもGoogleと同じように、自分たちの思い描く未来に都合がいい、HTML5を後押ししようとしているのでしょう。

■結論

Googleやその他の組織の思惑と後押しもあり、XHTMLではなく、HTML5が主流になるのはほぼ確実だと思われます。

●●●のWEB製作仕様を決める際に、「XHTMLでいきましょう」と言っていた僕がこんなことを言うのはおかしいかもしれませんが、これまで述べてきたような状況を踏まえると、●●●としても今後は、XHTMLではなく、HTML5に照準をあわせた方がいいと思います。

参考サイトとしてあげたページの中に下のような言葉がありました。

「HTML5が登場することによってWebはどう変わるのでしょうか? いま見えているのは、ハイパーリンクによってつながったドキュメントを閲覧する、という原初のWebの姿から、アプリケーションを実行するプラットフォームへと進化する、という道筋です。」

この「アプリケーションを実行するプラットフォーム」というのが、HTML5になります。

これによって、WEBの世界はまた劇的に変化するでしょう。
それによって、これまでのクライアントOS・クライアントアプリケーション全盛の時代も終わりを告げることになりそうです。

こういったことを踏まえると、HTML5はいわば「時代の要請」であると言えるでしょう。

■その他補足:CSS3、JavaScript 2.0

WEBアプリケーションを高速化するためのカギである「JavaScript」と、HTMLの「構造と表現の分離」の「表現」を担う新しいバージョンのCSS3については、以下が詳しいです。

いま起きているWeb標準の進化、HTML5、CSS3、JavaScript 2.0 - Blog on Publickey
http://www.publickey.jp/blog/09/webhtml5css3javascript_20.html

  1. Change by Muhammad Butt, on Flickr) [↩ Back]

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