メール

Federal Trade Commission (連邦取引委員会)

(*1)
(*2)

 

ルールの変化は新しいトレンドを生み出し、あるいは、すでに起こっていたトレンドを決定的に変えてしまう。だからこそ、目が離せない。

―――ジョエル・バーカー、『パラダイムの魔力』

どうも、倉田幸暢です。

すこし前に、

楽天が社内の公用語を2012年までに英語にすると
発表したことが話題になっていましたね。

また、楽天だけでなく、
ユニクロも、楽天と同じように、
社内の英語化に力を入れていく、と発表しました。

ちなみに、
楽天では今、社員食堂のメニューまでもが
英語で表記されているらしいです。

どうやら、楽天の社員さんは、
英語ができないとお昼ごはんも食べられないという、
スパルタな環境におかれているようです(笑)。

これでは、親子丼を注文するのにも一苦労しそうですね(笑)。

・・・でも、

実はここだけの話、「親子丼」は英語で、

「Oyakodon」

と言っても通じるらしいです。

・・・・・・・・・・・・・。

そのまんまですね(苦笑)。

あと、
牛丼は「Gyudon」で、
カツ丼は「Katsudon」と言っても
通じるらしいです(笑)。

これなら、
たとえ、日本全国の食堂のメニューが英語化されたとしても、
なんとかなりそうですね(笑)。

・・・と、まぁ、

冒頭でいきなり、この、楽天とユニクロによってもたらされた

「楽ユニ・ショック」

についてお話したわけですが、

今回は、べつに楽天やユニクロについて
お話したいわけではありません(苦笑)。

ただ、
僕自身、以前から、

「ネットビジネスと英語の密接な関係」

について思うところがあったので、
今回の「楽ユニ・ショック」によって、
英語化に関する話が世間で話題になっている状況を見ていて、

「ネットビジネスと英語の関係について話すには、
  今がちょうどいい機会かもしれないなぁ」

と思ったのです。

そういうわけで、今回は、

「ネットビジネスと英語の密接な関係」

という話題について、
僕が考えていることをお話したいと思います。

このように英語についての話をすると、

「英語だって!?そんなこと考えたくもないよ!」

と、思われることがあるかもしれません。

ですが、今回の話は、
たとえ、英語を身に着けるつもりがまったくなかったとしても、
ネットビジネスをしていくうえで、
聞いておいて損はしない話です。

さて、今回お話しする内容は、具体的には、

「ネットビジネスという観点からみて、
 なぜ英語を身に着けておく必要があるのか?」

という理由についてです。

ネットビジネスをやるうえで、
英語を身に着けておいたほうがいい理由は
いくつかあるのですが、

今日はそのなかからひとつだけに絞って
お話したいと思います。

今回お話したいその「理由」とは、

「英語圏の動向が、日本のネットビジネスに関する
  法制度にも影響を与えているから」

という理由です。

これから、このことについて、
実際にあった事例をいろいろと取り上げながら
説明していきたいと思います。

ちなみに、これ以外の理由に関しては、
今日ここですべてをお話してしまうと、
文章が長くなり過ぎてしまうので、
それらについては、
また別の機会にでも
お話しようと思います。

現代のビジネス環境について

それでは、さっそく、

「英語圏の動向が、日本のネットビジネスに関する
  法制度にも影響を与えている」

ということについて、お話していきます。

と、そのまえに、

一応、今回の話の前提となる、
現代のビジネスがおかれている環境について
お話したいと思います。

これを踏まえたうえで、
今回の話を聞いていただけると、
話がより分かりやすくなるかと思います。

さて、

ご存じのとおり、
現代は、いろいろな商品の売り買いが
地球規模で行われている時代です。

たとえば、
巨大通販サイトである「Amazon.co.jp」(日本語サイト)で
英語で書かれた中古の洋書を買うと、

その本は、日本の古本業者さんからではなく、
アメリカやイギリスなどの海外の古本業者さんから
配送されてくることがよくあります。

このように、現代は、

日本にいながらでも、

日本語だけしか使えなくても、

個人であっても、

海外の人と取引をすることが簡単にできる時代なのです。

そして、さきほどの例もそうなのですが、
このような世界規模での売り買いの場では、

「商品を買う人と、商品を売る人の国籍が違う」

という場合がほとんどです。

「そんなのあたりまえだろ!」

と思われるかもしれませんが、
このことはとても重要なことです。

なぜなら、
もし、所属する国によって
商売に関する法律が異なるとしたら、

異なる国に所属する人同士がスムーズに取引を進めることが
できなくなってしまうからです。

ですが、
実際には、そのような「壁」はなく、
さきほどの例のように、

個人が、日本で、日本語だけを使って、
海外の人と取り引きをすることが簡単にできる、
という状態になっています。

このような状況が実現しているのは、
国際的な取引において不具合が起こらないようにするために、

世界中の国々が協力して、
それぞれの国のビジネスに関する法律を、
できるだけ世界的に統一していこうという、
世界的な動き
があるためです。
 
このようにして定められたルールが、いわゆる、

「グローバル・スタンダード」
(世界共通のルール)

というものです。

今回の話の前提となるのは、
現代のビジネスを取り巻く環境のなかには、
このような、


「ビジネスにおける ルールを
  世界規模で統一しようという動きがある」

ということです。

FTCとはなにか?

ところで、突然ですが、

「FTC」

という名前の組織をご存知でしょうか?
 
「FTC」というのは、

「Federal Trade Commission」
(フェデラル・トレード・コミッション)

の略で、アメリカの

「連邦取引委員会」

という組織のことです。
 
「取引委員会」という言葉から察しがつくかもしれませんが、
この「FTC」は、日本でいう「公正取引委員会」と同じような
役割をしている公的機関です。

アメリカの「FTC」(「連邦取引委員会」)や、
日本の「公正取引委員会」の主な仕事は、

「消費者を保護する」

ということです。

そして、その「消費者保護」を実現するために、
「FTC」や日本の「公正取引委員会」は、
消費者に不利益を与えるような企業を
取り締まるための法律や規制を公布して、
それを執行しています。
 
さて、

ここで肝心なのは、
この「FTC」とネットビジネスがどう関連しているのか
という話ですが、

さきほどもお話したように、
FTC は「悪徳な販売者から消費者を守る」という観点から、
商品を販売する行為に関して、
さまざまな規制をかけています。

そして、悲しいかな、
ネットビジネスの世界にも、
消費者をだましてお金を巻き上げる悪徳業者がいます。

つまり、
そのようなネットビジネスで不正をする悪徳業者を取り締まり、

購入者と販売者の「公正な取引」

を維持するために、
「FTC」はネットビジネスに関連することがらにも
規制をかけている
のです。

そして、これまでに「FTC」が公布してきた規制のなかには、
ネットビジネスの世界に重大な変化をもたらした規制が
いくつもあります。

メールの重要性

FTCによって公布され、
ネットビジネスの業界に大きな影響を与えた最たる例といえば、
なんといっても、

「メールの送信」についての規制

です。

「メール」というものは、あまりにありふれていて、
多くの人が当り前のように使っているものなので、

「メールに関する規制って、そんなに重大なことなの?」

と思われるかもしれません。

しかし、

ネットビジネスにおいて、
「メール」は、
一番重要なものであると言っても過言ではないほど、
とても重要なものなのです。

なぜなら、
基本的にお客さんと直接会うことがない
ネットビジネスにおいては、
お客さんと密なコミュニケーションをとることができる方法は
数少ないのですが、
その数少ないコミュニケーション手段のなかでも、
「メール」は、現実的にもっとも使いやすいものだからです。

実用に耐えるコミュニケーション手段としては、
「メール」が、ほぼ唯一のもの
だと言っても
過言ではありません。

仮に、
もしも、メールが一切使えず、
お客さんとコミュニケーションをとることがまったくできない
ような状況になったとすれば、
商品を紹介することも、
お客さんが欲しがっているものを知ることもできません。

これは、まるで、
窓もないような暗い密室に閉じ込められて
誰とも話すことができない状況になってしまうようなものです。

そんな状況では、ビジネスがうまくいくはずがありません。

ちなみに、
ネットビジネスにおいて「メール」と言えば、
多くの場合、

「メールマガジン」

のことを指します。

そして、
ネットビジネスが従来のビジネスモデルよりも
優れているとされる理由のひとつが、

メールマガジンを利用することによって、
ひとつのメッセージを同時にたくさんの人に
届けることができる
から、という理由なのです。

また、これは従来の対面営業、
つまり、お客さん一人一人と実際に会って話すことでしか
メッセージを届けることができない営業手法では、
決してできないことなのです。

たとえば、
対面営業では、どんなにがんばっても
一日に数百人のお客さんにしかアプローチできません。

ですが、
メールマガジンを利用してメッセージを送れば、
お客さんが1万人であっても10万人であっても、
ボタンひとつで、
すぐにメッセージを届けることができるのです。

巷ではよく、ネットビジネスの利点として、

「レバレッジをかけることができる」

というようなことが言われていますが、
さきほどお話した、

「ひとつのメッセージを同時に
たくさんの人に届けることができる」

ということが、この場合の

「レバレッジ(てこの原理)」

という言葉の意味なのです。

つまり、メールマガジンを利用すれば、
たった1通のメールを書くだけで、
1万通や10万通の手紙を手書きで書くのと同じ効果を
得ることができる
ということなのです。

ちなみに、対面営業の他にも、FAXや郵便を使って
ダイレクトメールを送るという従来の手法もありますが、
これらはどうしても紙代や配送料などのコストが
かかってしまいます。

それに比べて、メールは、実質的にコストをかけずに
メッセージを送ることができます。

さらに、

もしも、メールになんらかの広告を掲載する場合であれば、
その気になれば、メールの開封率や広告に対する反応率などの
数字を割り出し、広告メールの正確な効果測定をすることも
簡単にできます。

また、広告としての機能以外にも、メールマガジンは
下で示したような、「場」にもなります。

・自分の考えを理解してもらって信頼関係を構築する場
・お客さんがなにを望んでいるのかを知ることができる
  リサーチの場
・お客さんの疑問や質問に答えるサポートの場

メールマガジンによってできるこれらの「場」は、すべて、

「お客さんとのコミュニケーションの場」

として機能します。

ちなみに、上の方で、

「メールマガジンはお客さんとの
 
コミュニケーションの手段である」

というようなことをお話しましたが、その理由は、
さきほどご紹介したように、「メールマガジン」には、

「コミュニケーションの場」

としての機能があるからでもあります。

さて、ここまでお話してきたように、
「メールマガジン」は、
ネットビジネスに携わる者にとっては
なくてはならないものなのです。

そして、
その重要な「メールマガジン」の運用について、
さまざまな規制をかける役割をしているのが、
アメリカでは、FTC(連邦取引委員会)なのです。

ここまでの話で、
アメリカのネットビジネス業界において、
FTC(連邦取引委員会)の動向がいかに重要な意味を持つか、
ということがお分かりいただけるかと思います。

そして、
FTC(連邦取引委員会)の動向は、
実は、アメリカでネットビジネスをやる場合だけに
重要なわけではなく、

日本でネットビジネスをやるわれわれにも、
大きな影響を与えているのです。

これについては、あとで詳しくお話します。

英語圏の起業家やマーケターたちの対応

余談ですが、
英語圏でネットビジネスに携わっている起業家や
マーケターたちは、ネットビジネスに関する規制をめぐる
 FTC の動向に対しては、非常に敏感です。

彼らは、FTC に新たな規制の動きがあれば、
すぐにその規制に関する調査をはじめます。

これは、FTC の動向が、彼らのビジネスにとって、
それほど大きな影響があるということを示しています。

ちなみに、英語圏の起業家やマーケターたちのなかには、
そうした調査の結果を、自分のメルマガで公表してくれる
人もいます。

もちろん、彼らは法律の専門家ではないので、
100%確実に正しい情報とは言い切れない部分はあります。

ですが、彼らが新しい規制について教えてくれるおかげで、
外国人であるわれわれ日本人でも、
新たな規制についての情報を得ることができるのです。

ですから、
もし、英語を通して伝えられる情報を理解する能力を
身に着けていれば、
それだけ早く新たな規制に対応することができ、
その分だけ他の人よりも有利な立場に立つことができる

ということなのです。

参考までに、
FTCの動向について、
海外の起業家・マーケターたちが
自分たちのブログで語っている実例を
以下で、ご紹介します。

A Big Steaming Cup Of Hysteria
John Carlton(ジョン・カールトン)
http://www.john-carlton.com/2009/10/a-big-steaming-cup-of-hysteria

Is This The End of Affiliate Marketing?
Michel Fortin(マイケル・フォーティン)
http://www.michelfortin.com/affiliate-marketing

Give Your Testimonials a Reality Check
Michel Fortin(マイケル・フォーティン)
http://www.michelfortin.com/give-testimonials-reality-check

New FTC Guidelines For Bloggers Affiliate Marketers And Social Media Users
Jeff Johnson(ジェフ・ジョンソン)
http://www.undergroundtraininglab.com/2076/new-ftc-guidelines-for-bloggers-affiliate-marketers-and-social-media-users-2

「CAN-SPAM法」

さて、
これまでにFTCが公布してきた「メール」に関する規制の
具体例をあげると、もっとも有名なもののひとつに、
2003年に公布された、

「CAN-SPAM法」(キャンスパム法)

と呼ばれる法律があります。

ちょっと変わった名前の法律ですが、名称のなかに
「SPAM」(スパムメール・迷惑メール)という言葉が
入っていることからも分かるとおり、この法律は
迷惑な広告メールなどを取り締まるための法律です。

この法律の内容を簡単に言うと、
広告宣伝メールを受け取った人が、

「今後はこのメールの配信を希望しない」

という意志を示した場合は、広告宣伝メールの送り主は、
今後、その人に対してメールを送信することができない、
ということを定めています。

このような方式のことを、

「オプトアウト方式」

と呼びます。

この「CAN-SPAM法」(キャンスパム法)の
より細かい内容としては、

「メールの配信を停止するための方法を明示しなければならない」

という規定や、

「送信者の住所を、メールのなかで明示しなければならない」

といった規定などがあります。

(参考ページ)
The CAN-SPAM Act: A Compliance Guide for Business
FTC ( Federal Trade Commission )
http://www.ftc.gov/bcp/edu/pubs/business/ecommerce/bus61.shtm

FTC の規制が日本に与えている影響

さて、ここからは、いよいよ日本についての話です。

ここまで、世界の動向や、用語の説明などの話で
ずいぶん長くなってしまいましたが、
やっと日本の話に戻ってきました(苦笑)。

ここからが、今回のメインの内容です。

日本には、迷惑メールを規制する法律として、

「特定商取引法」

と、

「特定電子メール法」

と呼ばれる、2つの法律があります。

これらの法律は、
これまでに何度も改正されているのですが、
その改正に当たっては、その改正内容について話し合うための
有識者たちによる会談の場が設けられてきました。

その会談の場では、
さきほどお話した「FTC」の動向や、「CAN-SPAM法」が、
参考にするべき実例として、何度も取り上げられています。

そうした有識者による会談の場の一例としては、
たとえば、経済産業省の商務情報政策局が主催して、
2007年から2008年にかけて行われた研究会があります。

この研究会では、下のような肩書の人々が集まって、
迷惑メール規制についての法改正の指針を決めるために

話し合いをしています。

・経済産業省の消費経済対策課長
・消費生活担当官房審議官
・株式会社ディー・エヌ・エーの法務グループのリーダー
・全国イーコマース協議会会長
・楽天株式会社執行役員
・経済産業省の通商政策局米州課長
・総務省企画官
などなど

これらの肩書を見ているだけでも、
なんだかすごそうな研究会ですね(笑)。

それはさておき、

この研究会では、
アメリカの「公正取引委員会」である FTC による
迷惑メール対策の手法が参考として紹介され、
「CAN-SPAM法」のことも何度も話題に上っています。

ですので、この場合、
アメリカの法規制の動向を参考にして、
日本の法改正の指針が決定された

とも言えます。

(参考ページ)
迷惑メール規制に関する技術的論点ワーキンググループ(第4回)-議事録
平成20年5月13日
於:経済産業省本館17階西3国際会議室
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004420/gijiroku04.html

このように、日本の法律である

「特定商取引法」

や、

「特定電子メール法」

は、アメリカの FTC
や、
その FTC が公布している「CAN-SPAM法」の影響を
強く受けているのです。

そして、
もちろんのことながら、
こうして制定された法規制は、
日本でネットビジネスを展開するわれわれにも
大きな影響を与えています。

つまり、
英語圏(この場合はアメリカ)の動向が
日本のネットビジネスにも影響を与えている
ということなのです。

そして、このことが、
今回のはじめにお話した、

「英語圏の動向が、日本のネットビジネスに関する
  法制度にも影響を与えている」

ということの、ひとつの実例なのです。
 
 
ご存知のとおり、アメリカはビジネス大国であると同時に、
インターネット大国ですから、インターネットビジネスに
関する変化のスピードはとても速いです。
 
そのため、
インターネット上で行われるビジネスに対して、
FTC がかける規制も、どんどん新しいものが出てきます。

巷ではよく、
 
「アメリカは日本の数年先を行っている」
 
ということが言われますが、
それが当てはまる事例は、
21世紀になって10年近く経った現在でも、
まだまだたくさんあります。
 
さきほどの、
日本の「特定商取引法」や「特定電子メール法」が
「CAN-SPAM法」の影響を受けている、
という話でもわかるとおり、

アメリカの事例が、数年遅れて、日本でも導入されるという
ことが多いというのは、事実です。

アメリカ以外の国々の動向

また、アメリカ以外の英語圏の国々の動向も、
日本のネットビジネスに関する法制度に影響を与えています。

さきほど、
 
「特定電子メール法」

という法律についてお話しましたが、
2008年に、この法律の改正が行われたことがありました。

その法改正により、広告宣伝メールの送信について、

「オプトイン方式」

というものが導入されました。

もしかすると、「オプトイン」という言葉は
耳慣れない言葉かも知れませんので、
ここですこし、この言葉の意味について
説明させていただこうと思います。

まず、

「オプトイン(opt-in)」

という言葉のなかの

「オプト(opt)」

という言葉には、

「選択する」

という意味があります。

また、この「オプト(opt)」という言葉は、
「選択」を意味する、

「オプション(option)」

という言葉の関連語でもあります。

その証拠に、
「オプト(opt)」も、
「オプション(option)」も、
どちらも元をたどれば、
ラテン語で「選ぶ」という意味の

「オプターレ(optare)」

という言葉が語源となってできた言葉です。

また、
「オプトイン(opt-in)」のなかの

「イン(in)」

という言葉には、この場合、

「参加する」

というようなニュアンスがあります。

ですから、「オプトイン(opt-in)」という言葉の意味は、

「自分から進んで参加する(in)ことを選択する(opt)」

というような意味になります。

ついでながら、
上のほうでもすこしお話しましたが、

「オプトアウト(opt-out)」

という言葉もあります。

この「オプトアウト(opt-out)」という言葉の意味は、
先ほどの「オプトイン」とは逆に、
「自分から進んで脱退する(out)ことを選択する(opt)」

というような意味になります。

このように、
「オプトイン方式」というのは、

「あらかじめ同意が得られている人に対してだけ
メールの送信が認められる」

 
というものです。

言い換えば、

「メールを送ることを承諾していない人に対して
メールを送ることを禁止する」

ということです。

そして、実は、
日本がこの「オプトイン方式」を導入する以前から、
海外では、早々と「オプトイン方式」の導入を
はじめている国々がありました。

たとえば、
EU(ヨーロッパ連合)では、
2003年にいち早く「オプトイン方式」を導入したイギリスを
はじめとして、
フランス、ドイツ、オランダなどの主要国がこれに続き
2004年に「オプトイン方式」を導入しています。

なお、
アメリカも、2004年に携帯電話宛てのメールについて、
「オプトイン方式」を導入しています。

また、EU以外の国としては、
オーストラリアも2004年に、
「オプトイン方式」を導入しています。

東アジアでは、
韓国が2005年に、
また、
中国が2006年に、
それぞれ「オプトイン方式」を導入しています。

このように、
日本が「オプトイン方式」を導入する以前から、
イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの、
英語圏の国をはじめとして、
世界的な傾向として「オプトイン方式」を
導入することが常識となりつつあったのです。

このような流れを踏まえたうえで、
2008年に日本で「オプトイン方式」が導入された理由について
考えてみると、

その理由のひとつが、
このような世界的な傾向に影響を受けたからだ、
ということが分かります。
 
事実、さきほどご紹介した、
2007年から2008年にかけて日本の経済産業省内で行われた
研究会の席上でも、
迷惑メール規制に関するEUや東アジア諸国の動向についての話が
話題に上っています。

このように、
日本のネットビジネスに関する法律
(たとえば、メールの規制に関する法律)は、
アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの、
英語圏の影響を受けて変化してきた
のだ、
ということが、お分かりいただけるかと思います。
 
そして、これが、
今回、一番はじめにお話した、
 
「英語圏の動向が、日本のネットビジネスに関する
  法制度にも影響を与えている」

 
ということなのです。
 
もちろん、さきほどご紹介した EU や東アジア諸国は
英語圏ではありません。
 
ですが、
ヨーロッパでは、かなりの数の人が英語を使うことができる
ということや、

そもそも、ヨーロッパ諸国で使われている言語のなかには、

英語と文法や言葉が似通っている言語が多い、
ということを考えると、
 
ヨーロッパは、実質的には

「準英語圏」

であるといえるでしょう。
 
また、現在の韓国や中国においては、
英語学習や、英語圏の国への留学などが盛んであり、
いわゆる、

「英語熱」

というものが非常に高まっているということを、
一度は耳にしたことがあるかと思います。

このように、現代では、もはや、

「公用語が英語ではない国は、英語圏ではない」

とは、言い切れない時代になっているのです。

もっといえば、
日本でさえ、見方によっては英語圏であると言えます。

なんといっても、現代の日本人のほとんどが
少なくとも数年間は、英語を学んだ経験があり、
生活のなかにも多くの英語が取り込まれているのですから。

このように、見方によっては、

「世界中が英語圏である」

ということが言えるのです。

そして、世界中が英語圏であるがために、
最初にお話したような、

「英語圏の動向が、日本のネットビジネスに関する
  法制度にも影響を与える」

という状況があるわけです。

ですから、
たとえ、日本だけでネットビジネスを行うという場合でも、
英語を身に着けておいたほうがいいと、
僕は思うのです。

さて、今回の話は、
すこし、ややこしい部分もあったかもしれませんが、
ネットビジネスをしていくうえで重要な話なので、

「世界ではこういう動きがあるんだなぁ」

ということは、頭の片隅に置いておいてください。

それでは、また次回お会いしましょう。

ありがとうございました。

倉田幸暢

  1. (Federal Trade Commission (連邦取引委員会)(Image from Wikimedia Commons)) [↩ Back]
  2. (メール ( CG image by Everaldo Coelho | Crystal Clear )) [↩ Back]