フェイスレスの時代の終焉 - 人間性の再興 -

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「のっぺらぼう」禁止
「のっぺらぼう」禁止(*1)

 

「誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。

 わたしたちはもう少し高望みなのさ。

 なぜって、人の心を本当に動かすのは、
 やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。」

―――ポルキュアスの言葉、ゲーテ、『ファウスト』(*2)

天空にこだませよ歓喜の歌

嘆くなかれ そは汝の音色

―――「調律への扉- Twin Music -」、『ラーゼフォン』(*3)(*4)

これまでの、
没個性的で、
「顔」が見えず、
無味乾燥な、
「のっぺらぼう」な組織が
影響力を持っていた時代は終わりを告げました。

現代は、
個性にあふれていて、
「顔」が見え、
共感できる、
「表情豊か」な個人が
力を持つ時代です。

他に埋没せず選ばれるための自己表現

言の葉の芽生え

(言の葉の芽生え)(*5)

やまとうたは、人のこころをたねとして、
万(よろず)の言の葉(ことのは)とぞなれりける。

世の中にある人、ことわざ繁(しげ)きものなれば、
心に思ふ事を、見るもの聞くものにつけて、
言ひ出(いだ)せるなり。

花に鳴く鶯(うぐいす)、
水に住む蛙(かわず)の声を聞けば、
生きとし生けるもの、
いづれか歌をよまざりける。

力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女のなかをもやはらげ、
猛(たけ)き武士の心をもなぐさむるは、
歌なり。

―――紀貫之、『古今和歌集仮名序』(*6)

現代の、「個人が力を持つ時代」において、
あなたが大切にしなければならないことはなんでしょうか?

それは、あなたがほかの人に伝えたいと思っている思いや・考えを、
さまざまな手段を使って直接、伝えていくということです。

なぜなら、万人に向けた当たり障りのない、誰にでも語れるような言葉は、
もはや誰の耳にも届かないからです。

あなたの真心から生まれることばこそが、
いちばん人の心に響くのです。

誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。

わたしたちはもう少し高望みなのさ。

なぜって、人の心を本当に動かすのは、
やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。

(ポルキュアスの言葉、ゲーテ、『ファウスト』)(*2)

人間の顔は、笑顔を見れば笑うように、
泣き顔を見れば泣き出す。

もしわたしを泣かせたいと思うなら、
あなた自身が先に悲しまなければならない。

テレーポスよ、ペーレウスよ、そのときはじめて
あなたの不幸がわたしの胸を突き刺すことになる。

しかし役に立っていない科白を語ろうものなら、
わたしは居眠りするか、吹き出すか、どちらかだろう。

(ホラティウス、『詩論』)(*7)

これは、つまり、あなた自身を表現するということです。

あなたには、だれかに伝えたいことや、
伝えたい思いなどが必ずあるはずです。

そして、あなたのそうした思いが、
ほかの人とまったくおなじということは、まずありません。

あなたとまったくおなじ人間が地球上に2人といないように、
あなたとまったくおなじ思いで仕事をしている人もいないのです。

もし語られる言葉が語る者の身の上に一致しなければ、
ローマ人は騎士であれ歩兵であれ大声で笑い出すだろう。

科白を語る者が、神かそれとも英雄か、円熟の老人か
それとも青春たけなわの熱血漢か、堂々たる貴婦人か
それともまめまめしい乳母か、
行商人かそれとも緑の野を耕す農夫か、
コルキス人かそれともアッシリア人か、
テーバイ育ちかそれともアルゴス育ちか、
どちらかによって大きなちがいが生じるだろう。

(ホラティウス、『詩論』)(*8)

そして、何より重要なことは、
「あなたの思いは、相手に通じる」
ということです。

あなたが、誠実な気持ちで、相手に伝えたいと思うことを発信していれば、
それは相手の心に届き、共感を生みます。

誠は天の道なり、誠を思うは人の道なり。

至誠にして動かされざる者は未だこれあらざるなり。

誠ならずして未だ能く動かす者はあらざるなり。

(巻第七 離婁章句上 十二、『孟子』)(*9)

そして、あなたの思いに共感してくれた人は、
他の人ではなく、あなたを選んでくれるようになります。

これが、
「のっぺらぼう」な組織と、
「表情豊か」な個人との
大きな差別化になります。

つまり、一言で言えば、
「あなた自身」を選んでもらう必要がある
ということなのです。

あなた自身の思いを表現していくことによって、
あなたは、相手にとって、ほかとは違う
特別な存在になることができるのです。

ほんとうの自分の力だけで創造する、
つまり、できあいのものにたよるのではなく、
引き出してこなければならないものは、
じつは、自分自身の精神そのものなのです。

(岡本太郎、『今日の芸術』)(*10)

あなたの口から真実を伝えて頂きたい

我らのたった一つの望みを

この宇宙世紀を生きる人々へ

あなた自身の言葉で

(サイアム・ビスト、『機動戦士ガンダムUC』) (*11)

回天の箱からあふれ出す、個人の力という名の希望

契約の箱(Ark of the Covenant)

(契約の箱)(*12)

「ラプラスの箱には 未来を変える力がある。」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)

「かつてジオン・ダイクンが提唱したニュータイプ論は、
 人の革新、
 無限の可能性、
 まさしく力を謳ったものだった。

 一年戦争に勝利して以来、
 連邦は常にその見えない力に脅かされてきたといっていい。

 地球に住む特権階級を告発する力。
 棄民たるスペースノイドに目覚めよと呼びかける力。
 百年近く続いてきた連邦の支配体制を覆しかねない力。」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)

「いまでは未来を完全に予測する術はないことが証明されています。
 我々は、その経緯を逆説として受け取り、
 この首相官邸に〈ラプラス〉の名を冠しました。
 『未来にはあらゆる可能性がある』
 という意味を込めてのことです。」

―――リカルド・マーセナスの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*14)

 少なくともポスト工業社会では人材発掘のねじれた方向性を解消して、才能のある人物をできるだけ早く引き入れなければならないのだ。才能のある人材はどんどん減っている。
(中略)
出生率の急落と高齢化社会が、この時限爆弾に含まれている内容物だ。
 この結果どうなるだろう。組織のほとんどは、少数の人間に人質にとられてしまう。こうしたスターは、コア・コンピタンス(核となる能力)と呼ばれている。コア・コンピタンスは、物事を実際に進展させる少数の人間だ。この人種は自分たちの強みをどのように使い、また弱点をどのように取り扱うかを知っている。このような人は世界各地に点在している。スティーブン・スピルバーグやトム・クルーズだけではないのだ。こういう人たちは、スポーツの世界でも活躍する。イギリスのサッカーチーム、アーセナルにフランス人選手ティエリ・アンリがいない状況を考えればよい。

(ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、『成功ルールが変わる!』)(*15)

「メリッサ」や「ラブレター」といったコンピューターウイルスが世界中に混乱を招いたとき、犯人を逮捕するために、FBIは自らの専門家を使っただろうか。そうはしなかったのだ。FBIは結局、スカンジナビア半島に住む17歳のハッカーと連絡を取らざるを得なかった。才能はさまざまな顔を持っている。才能はさまざまな形となって現れてくる。
 才能のある人は歩く専売品だ。こういう人をつなぎ止めるためには、彼らが望むものを提供するしかない。それが与えられなければ、彼らは誰か他の人のために働くか、どこか別な場所で働くか、あるいは「私株式会社」なる会社を一人で設立するのだ。「フリーランス国家」と呼ばれているアメリカでは、1600万人のフリーランス、300万人のフリーター、そして個人企業を経営する1300万人の個人企業家が仕事をしている。これは公共セクターに所属している人より多い。
 才能の市場は、原材料の市場と同じように機能するわけではない。能力のある個人はユニークであり、他の人とは違う。経済学者によっては、才能の市場は不完全であるとさえ言うかもしれない。権力は、経済資本を所有している者から、知的資本をコントロールする者へと移されようとしている。ゴールドカラーの労働市場では、企業は言い値を払うだけの存在、つまり、才能のある男女が提案する賃金や給料をそのまま受け入れる存在になってしまっている。組織は、最も重要で最も希少な資源をコントロールする者のなすがままになっている。

(ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、『成功ルールが変わる!』)(*16)

託された者が歩む、希望へつづく茨の道

可能性の獣(Unicorn)

(断崖に立ちつづける可能性の獣)(*17)

「ラプラスの箱には 未来を変える力がある。
 いや、本来あるべきだった未来を取り戻す力と言うべきか。
 ただし、誰にでも扱えるというわけではない。」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)

「人間だけが神を持つ。
 今を超える力、可能性という内なる神を。
 ここまで来たその気持ちが揺らがぬ自信はあるか?」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)

「お前を相応しい乗り手と判断すればユニコーンは無二の力を与える。
 ラプラスの箱への道も開くだろう。」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)

「たとえどんな現実を突きつけられようと
 『それでも』と、言い続ける
 自分を、見失うな」

―――マリーダ・クルスの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*18)

しかし、これには副作用がある。不幸にも誰もが持っているようなスキルしかない「普通の人」にとって、新しい世界のもたらす現実は、首を切るか切られるかの競争だ。こうした人々が提供するのは、誰にでも提供しうるサービスである。グローバル市場では、彼らの競争相手は世界に何百万人、ひょっとすると何十億人もいて、企業は格安の労働者を雇い入れることができる。この現象に被害を被っている人はどんどん増えている。
(中略)
今やブルーカラーだけでなく、大学の卒業証書を持っている人にまで被害を及ぼしている。

(ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、『成功ルールが変わる!』)(*19)

本物の才能を持っていない建築家、エンジニア、経理部員その他、あらゆる知的労働者は、もはや安全ではない。著者のアドバイスは実にシンプルなものだ。労働の食物連鎖でより強いものに変わるか、逃げるかのどちらかだ。

(ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、『成功ルールが変わる!』)(*20)

「先行きが安らかであることを。実りある時代になることを。」

幕開け(Orbital Sunrise)

(幕開け)(*21)

「だが行け、恐れるな。
 自分の中の可能性を信じて力を尽くせば
 道は自ずと開ける。」

―――カーディアス・ビストの言葉、『機動戦士ガンダムUC』 (*13)


リカルド・マーセナスの言葉(9:50~11:20)(*22)

いま、我々の目の前には広大無辺な宇宙があります。あらゆる可能性を秘め、絶え間なく揺れ動く未来があります。どのような経緯でその戸口に立ったにせよ、新しい世界に過去の宿業を持ち込むべきではありません。我々はスタート地点にいるのです。他人の書いた筋書きに惑わされることなく、内なる神の目でこれから始まる未来を見据えてください。
 現在、グリニッジ標準時二十三時五十九分。間もなくです。この放送をお聞きのみなさん、もしその余裕があるなら、わたしと一緒に黙祷してください。去りゆく西暦、誰もがその一部である人類の歴史に思いを馳せ、そして祈りを捧げてください。
 宇宙に出た人類の先行きが安らかであることを。宇宙世紀が実りある時代になることを。我々の中に眠る、可能性という名の神を信じて―

(リカルド・マーセナス、『機動戦士ガンダムUC』) (*23)

  1. 「のっぺらぼう」禁止(「フェイスレス(顔無し)の時代の終焉」)(作:倉田幸暢、元画像:「Masasumi Noppera-bo.jpg」 on Wikimedia Commons、元画像の作者:竜斎閑人正澄、「のっぺらぼう」、『狂歌百物語』) [↩ Back]
  2. (ポルキュアスの言葉、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(訳 高橋義孝)、第二部 第三幕、『ファウスト(二)』、新潮文庫、1997年、332ページ) [↩ Back] [↩ Back]
  3. (「天空に木霊(こだま)せよ歓喜の歌 嘆くなかれ そは汝の音色 次回 ラーゼフォン第25楽章 「神の不確かな音」 世は音に満ちて」(「第25話 神の不確かな音- Deus Ex Machina -」の次回予告)、原作・監督:出渕裕、「第24話 調律への扉- Twin Music -」、『ラーゼフォン』(RahXephon)) [↩ Back]
  4. (「次回予告 ラーゼフォン」) [↩ Back]
  5. (言の葉の芽生え、Photo by NoNomme on Wikimedia Commons) [↩ Back]
  6. 紀貫之『古今和歌集仮名序』冒頭文) [↩ Back]
  7. (ホラティウス(訳 松本仁助、岡道男)、「ホーラティウス『詩論』」、『アリストテレース 詩学・ホラーティウス 詩論』、岩波文庫、1997年、236ページ) [↩ Back]
  8. (ホラティウス(訳 松本仁助、岡道男)、「ホーラティウス『詩論』」、『アリストテレース 詩学・ホラーティウス 詩論』、岩波文庫、1997年、237ページ) [↩ Back]
  9. ((訳注 小林勝人)、巻第七 離婁章句上 十二、『孟子(下)』、岩波文庫、1972年、33ページ) [↩ Back]
  10. (岡本太郎、『今日の芸術―時代を創造するものは誰か』、光文社文庫、1999年、163ページ) [↩ Back]
  11. (サイアム・ビストの言葉、(原作:矢立肇、富野由悠季、福井晴敏)、『機動戦士ガンダムUC episode7「虹の彼方に」』(アニメ)、株式会社サンライズ、2014年) [↩ Back]
  12. 契約の箱(「ラプラスの箱」(回天の箱))、Photo by Lancastermerrin88 on Wikimedia Commons) [↩ Back]
  13. (カーディアス・ビストの言葉、(原作:矢立肇、富野由悠季、福井晴敏)、『機動戦士ガンダムUC episode1「ユニコーンの日」』(アニメ)、株式会社サンライズ、2010年) [↩ Back] [↩ Back] [↩ Back] [↩ Back] [↩ Back] [↩ Back]
  14. (リカルド・マーセナスの言葉、著者:福井晴敏、『機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上)』(小説)、角川書店(角川グループパブリッシング)、角川コミックス・エース、2007年、35ページ) [↩ Back]
  15. (ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、(訳 中山ゆーじん)、「才能は人質を取る」(第6章 才能による支配)、『成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて』、2004年、91-92ページ) [↩ Back]
  16. (ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、(訳 中山ゆーじん)、「才能は人質を取る」(第6章 才能による支配)、『成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて』、2004年、92-93ページ) [↩ Back]
  17. (断崖に立ちつづける可能性の獣、Photo by Kglavin on Wikimedia Commons) [↩ Back]
  18. (マリーダ・クルスの言葉、(原作:矢立肇、富野由悠季、福井晴敏)、『機動戦士ガンダムUC episode3「ラプラスの亡霊」』(アニメ)、株式会社サンライズ、2011年) [↩ Back]
  19. (ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、(訳 中山ゆーじん)、「才能は人質を取る」(第6章 才能による支配)、『成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて』、2004年、93ページ) [↩ Back]
  20. (ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノードストレム、(訳 中山ゆーじん)、「才能は人質を取る」(第6章 才能による支配)、『成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて』、2004年、94ページ) [↩ Back]
  21. (幕開け、Photo by NASA on Wikimedia Commons) [↩ Back]
  22. (地球連邦政府初代首相リカルド・マーセナスの宇宙世紀改暦セレモニー記念演説、福井晴敏、『機動戦士ガンダムUC』、「【英語/日本語字幕】宇宙世紀 改暦セレモニー記念演説 機動戦士ガンダムUC (UC Calendar revision ceremony memorial speech ) - YouTube」) [↩ Back]
  23. (リカルド・マーセナスの言葉、著者:福井晴敏、『機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上)』(小説)、角川書店(角川グループパブリッシング)、角川コミックス・エース、2007年、36~37ページ) [↩ Back]



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