MITライセンス(エムアイティーライセンス)(MIT License)というのは、オープンソースソフトウェアのライセンスのひとつで、無料で自由につかうことができる(制限がほんのすこししかない)のが特徴です。 [1]
MITライセンスのもとで配布されているものは、改変でも、再配布でも、商用利用でも、有料販売でも、どんなことにでも自由に無料でつかうことができます。
そのために守らなくてはいけない条件は、「著作権表示」と「MITライセンスの全文」を記載する、という条件だけです。(なお、「MITライセンスの全文」を記載する代わりに、MITライセンスの全文が記載されているウェブページのURLを記載することも認められています。)
下記の文章は、MITライセンスの内容を、わかりやすく意訳したものです。
このソフトウェアをコピーしてつかったり、配布したり、変更を加えたり、変更を加えたものを配布したり、商用利用したり、有料で販売したり、なんにでも自由につかってください。
このソフトウェアの著作権表示(「Copyright (c) 年 作者名」)と、このライセンスの全文(英語の文章)を、ソースコードのなかや、ソースコードに同梱したライセンス表示用の別ファイルなどに掲載してください。
このソフトウェアにはなんの保証もついていません。たとえ、このソフトウェアを利用したことでなにか問題が起こったとしても、作者はなんの責任も負いません。
「著作権表示」と「ライセンスの全文」の掲載については、ソースコードのなかや、同梱の別ファイルなどに下記のような記述を掲載するだけでかまいません。
また、ウェブページに「著作権表示」と「ライセンスの全文」を掲載して、そのウェブページのURLをソフトウェアのなかや同梱のファイルに掲載する、という方法でもかまいません。 [2]
下記は、「ライセンスの全文」として、「ライセンスの全文」が掲載されているウェブページのURLを記載した場合の、「著作権表示」と「ライセンスの全文」の記載の実例です。
Released under the MIT license
https://github.com/YukinobuKurata/YouTubeMagicBuyButton/blob/master/MIT-LICENSE.txt
「Copyright (c) 2013 Yukinobu Kurata」という部分は、「著作権表示」の部分です。(「著作権が発生した年: 2013年」、「作者名(著作権保持者名): Yukinobu Kurata」)
「Released under the MIT license」という部分は、「MITライセンスのもとで配布されている」ということを示しています。
最後のURLは、「ライセンスの全文」が掲載されているページのURLです。
ちなみに、この「ライセンスの全文が掲載されているページのURL」として、オープンソース・イニシアティブのウェブサイトのなかにある、MITライセンスの原文のページのURLを掲載しているオープンソースソフトウェアをよく見かけます。
ですので、この「ライセンスの全文が掲載されているページのURL」は、自分でMITライセンスの原文のページを用意しなくても、オープンソース・イニシアティブのウェブサイトのなかにある、MITライセンスの原文のページのURLを掲載するだけでも大丈夫なようです(その場合は、「著作権表示」と「ライセンスの全文」の掲載は、下記のようになります)。
Released under the MIT license
https://opensource.org/licenses/mit-license.php
オープンソース・イニシアティブのウェブサイトのなかにある、MITライセンスの原文のページのURL
https://opensource.org/licenses/mit-license.php
ちなみに、オープンソース・イニシアティブ(Open Source Initiative)というのは、オープンソースソフトウェアを促進することを目的としている公的な組織です。
オープンソース・イニシアティブ(Open Source Initiative)のウェブサイト
https://opensource.org/
MITライセンス(日本語訳)
以下に定める条件に従い、本ソフトウェアおよび関連文書のファイル(以下「ソフトウェア」)の複製を取得するすべての人に対し、ソフトウェアを無制限に扱うことを無償で許可します。これには、ソフトウェアの複製を使用、複写、変更、結合、掲載、頒布、サブライセンス、および/または販売する権利、およびソフトウェアを提供する相手に同じことを許可する権利も無制限に含まれます。
上記の著作権表示および本許諾表示を、ソフトウェアのすべての複製または重要な部分に記載するものとします。
ソフトウェアは「現状のまま」で、明示であるか暗黙であるかを問わず、何らの保証もなく提供されます。ここでいう保証とは、商品性、特定の目的への適合性、および権利非侵害についての保証も含みますが、それに限定されるものではありません。 作者または著作権者は、契約行為、不法行為、またはそれ以外であろうと、ソフトウェアに起因または関連し、あるいはソフトウェアの使用またはその他の扱いによって生じる一切の請求、損害、その他の義務について何らの責任も負わないものとします。
上記のMITライセンスの日本語訳は、下記のOSDN.NET(オーエスディーエヌ・ドット・ネット)(旧サイト名は「SourceForge.JP」(ソースフォージ・ドット・ジェイピー)) [3] [4]のウェブサイト内のページに掲載されているものです。
licenses/MIT_license - Open Source Group Japan Wiki - Open Source Group Japan - OSDN
https://ja.osdn.net/projects/opensource/wiki/licenses%2FMIT_license
MITライセンス(原文)
Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy of this software and associated documentation files (the "Software"), to deal in the Software without restriction, including without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software, and to permit persons to whom the Software is furnished to do so, subject to the following conditions:
The above copyright notice and this permission notice shall be included in all copies or substantial portions of the Software.
THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS", WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING BUT NOT LIMITED TO THE WARRANTIES OF MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE AND NONINFRINGEMENT. IN NO EVENT SHALL THE AUTHORS OR COPYRIGHT HOLDERS BE LIABLE FOR ANY CLAIM, DAMAGES OR OTHER LIABILITY, WHETHER IN AN ACTION OF CONTRACT, TORT OR OTHERWISE, ARISING FROM, OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE SOFTWARE OR THE USE OR OTHER DEALINGS IN THE SOFTWARE.
上記のMITライセンスの原文は、下のオープンソース・イニシアティブ(Open Source Initiative)のウェブサイト内のページに掲載されています。
The MIT License (MIT) | Open Source Initiative
https://opensource.org/licenses/mit-license.php
MITライセンスの原文です。
MITライセンスについての、そのほかの情報
あなたのプロジェクトのコードが独占的ソフトウェアに流用されることが気にならないのなら、「MIT/X スタイル」のライセンスを使用しましょう。これは必要最小限のことのみを記したライセンスです。このライセンスは、名目上の著作権 (実際には複製を制限しません) と無保証であるということだけを明記するシンプルなものです。
(出典: Karl Fogel、(訳 高木正弘、高岡芳成)、「『何でもできる』ライセンス」「ライセンスの選択と適用」「第2章 さあ始めましょう」、『オープンソースソフトウェアの育て方』、オライリージャパン、2009年、34~35ページ)
上記の文章のなかにある、「MIT/X スタイルのライセンス」というのは、MITライセンスの別称です。 [1]
自分のコードをできる限り多くの開発者と派生物で使ってもらい、 かつ独占的なコードで使われるのを気にしないのならば、 MIT/X Window System ライセンス(以下 MIT/X ライセンス) (マサチューセッツ工科大学がオリジナルの X Window System のコードをこのライセンスでリリースしたので、そう呼ばれています) を選びましょう。
このライセンスが言っているのは基本的に 「あなたはこのコードを自由に、 無料で使うことができますよ」ということです。 このライセンスは GNU GPL と互換性があり、短く、簡単で、理解しやすいものです。
(出典: Karl Fogel、(訳 高木正弘、高岡芳成)、「MIT/X Window System ライセンス」「ライセンスを選ぶ」「第9章 ライセンス、著作権、特許」、『オープンソースソフトウェアの育て方』、オライリージャパン、2009年、248~249ページ)
上記の文章のなかにある、「MIT/X Window System ライセンス」や、「MIT/X ライセンス」というのも、MITライセンスの別称です。 [1]
重要なのは、 GPL と互換性があるかどうかが、ライセンスを選ぶ際に重大な問題になるということです。GPL は非常に重要なオープンソースライセンスです。 ある時点での Freshmeat の統計では、GPL が 68% を占めており、次に高いライセンスでも 6% です。 GPL で保護されたコードと自分のコードを混ぜた上でフリーにしたいのなら — GPL なコードがたくさんあるのだから — GPLと互換性があるライセンスを選ぶべきです。
GPL と互換性があるオープンソースライセンスのほとんどは、 独占的なライセンスとも互換性があります。 よって、そうしたライセンスを採用したコードは、 GPL なコードでも使うことができますし、 独占的なプログラムでも使うことができるのです。 もちろん、そうやってコードを混ぜた結果生じたもの は、相互に互換性がありません。 なぜなら、一方は GPL となり、 一方はクローズドソースなライセンスが適用されるからです。 問題が及ぶのは派生物に対してのみであり、 初めに配布したオリジナルなコードは影響を受けません。
ありがたいことに、FSF は GPL と互換性があるライセンスと、 互換性がないライセンスの一覧を 「さまざまなライセンスとそれらについての解説 (Various Licenses and Comments about Them) 」 という文章で示してくれています。この章で議論しているすべてのライセンスがこのリストにありますが、GPL と互換性があるものもあれば、ないものもあります。
https://www.gnu.org/licenses/license-list.html (英語)
https://www.gnu.org/licenses/license-list.ja.html (日本語)
(出典: Karl Fogel、(訳 高木正弘、高岡芳成)、「GPL とライセンスの互換性」「第9章 ライセンス、著作権、特許」、『オープンソースソフトウェアの育て方』、オライリージャパン、2009年、248~249ページ)
さまざまなライセンスとそれらについての解説 - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション
GPLと両立する自由ソフトウェア・ライセンス
https://www.gnu.org/licenses/license-list.ja.html#GPLCompatibleLicenses
参考サイト
MIT License - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/MIT_License
ウィキペディアの「MITライセンス」についてのページです。
- (MITライセンス(MIT License)は、ほか名前で呼ばれることもあります。ほかの呼び方としては、「MIT/Xライセンス」(MIT/X license)、「MIT / Xウィンドウシステムライセンス」(MIT / X Window System License)、「Xウィンドウシステムライセンス」(X Window System license)、「X11ライセンス」(X11 License)、「Xライセンス」(X License)などと呼ばれることもあります。)[Back ↩][Back ↩][Back ↩]
- 「これ以外の一般的な方法としては、ライセンスの本文を記載したウェブページへのリンクを用意するというものもあります。あなたの自己判断で、ライセンスのコピーが最も恒常的に存在すると思われる場所を使用するようにしましょう。たとえば、あなたのプロジェクトのウェブサイト上のどこかでもかまいません。」(出典: Karl Fogel、(訳 高木正弘、高岡芳成)、「ライセンスを適用する方法」「ライセンスの選択と適用」「第2章 さあ始めましょう」、『オープンソースソフトウェアの育て方』、オライリージャパン、2009年、36ページ)[Back ↩]
- 「OSDN(オーエスディーエヌ)は、日本のオープンソースソフトウェアプロジェクト向けのホスティングサイト。SourceForge.netの姉妹サイトで、OSDN社が運営している。2015年5月11日にサイト名称がSourceForge.JPから変更された。」(「OSDN - Wikipedia」より)[Back ↩]
- 「Open Source Development Network(オープンソース・ディベロップメント・ネットワーク、略称:OSDN)は、OSDN株式会社が運営するオープンソース開発者と利用者のためのオンラインメディアネットワークである。」(「Open Source Development Network - Wikipedia」より)[Back ↩]
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