「書きたいことを書いてみた」の記事一覧

ウェブコミック『Pepper&Carrot』とフリー(自由)でオープンソースでパーミッシブなライセンス

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

オープンソースウェブコミック『Pepper&Carrot』(ペッパー&キャロット)というマンガ作品があります。世界中のひとたちが、クラウドファンディングなどをとおして、この作品と作者さんを支援しています

ぼくも、『Pepper&Carrot』の制作を支援するために、クラウドファンディングのPatreon(ペイトリオン)をとおして支援をはじめました。

(参考)
David Revoy is creating Pepper&Carrot, an open-source webcomic | Patreon
https://www.patreon.com/davidrevoy

『Pepper&Carrot』とDavid Revoy(デヴィッド・レヴォイ)さんの理念

『Pepper&Carrot』の作者である、David Revoy(デヴィッド・レヴォイ)さんの、フリー(自由)や、オープンソースパーミッシブ(permissive)ライセンスにたいする考え方には、めちゃくちゃ共感します。

『Pepper&Carrot』の公式ウェブサイトのなかの、下記のURLの「Philosophy」(理念)というタイトルがついたページ(日本語版あり)のなかで、David Revoyさんのおもいがくわしく語られています

(参考:日本語版
Philosophy - Pepper&Carrot
https://www.peppercarrot.com/ja/static2/philosophy

(参考:英語版)
Philosophy - Pepper&Carrot
https://www.peppercarrot.com/en/static2/philosophy

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コピーレフト(copyleft) ← コピーセンター(copycenter) → コピーライト(copyright)

※註:「パーミッシブ」(permissive)という言葉は、一般的には、「寛容な」というような意味でつかわれる言葉です。ですが、この場合の、「パーミッシブ」(permissive)という言葉の意味は、「二次的著作物が制作された場合に、その制作されたものに対して、元になった作品とおなじライセンス条件を強制しない」(「一方的利用を許可する」「伝播性がない」「コピーセンター」)というような意味です。
 オープンソースのライセンスである、クリエイティブ・コモンズのいろいろなライセンスのなかでも、「CC BY」(「クリエイティブ・コモンズ 表示」)のライセンスは、パーミッシブ(permissive)なライセンスです。
 (ちなみに、パーミッシブ(permissive)と対になる言葉として、リシプロカル(reciprocal)(「互恵的な」「伝播性がある」「コピーレフトの」)という言葉もあります。)

 

比較表:コピーレフト(copyleft)、コピーセンター(copycenter)、コピーライト(copyright)
「左」 「中」 「右」
コピーレフト
copyleft
コピーセンター
copycenter
コピーライト
copyright
リシプロカル
reciprocal
「互恵的な」
「伝播性がある」
パーミッシブ
permissive
「一方的利用を許可する」
「伝播性がない」
(「寛容な」)
プロプライエタリー
proprietary
「独占の」
「専有の」
「私有の」
     

David Revoyさんは、『Pepper&Carrot』のウェブコミック作品そのものや、その作品のアートワークや、その作品をつくるために使用された素材などなど、すべてを、パーミッシブ(permissive)なライセンスである、「CC BY」(「クリエイティブ・コモンズ 表示」)のライセンスで提供されています。

Sources - Pepper&Carrot
https://www.peppercarrot.com/en/static6/sources

こうしたDavid Revoyさんの理念は、すばらしい理念だとおもいます。
また、その理念を『Pepper&Carrot』という作品をとおして、実際に行動でしめしているところもすごいとおもいます。

あと、キャロット(猫)がかわいい!オレンジ色の毛なみもいい!
d(≧∀≦)b

Webcomics - Pepper&Carrot
https://www.peppercarrot.com/

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酒呑童子の絵巻物を、みんなで修復して、 みんなで共有しよう

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

上掲の画像は、「江戸時代の酒呑童子の絵巻物を、みんなで修復して、 みんなで共有しよう」というクラウドファンディングのプロジェクトについての画像です。ここでは、このクラウドファンディングのプロジェクトについて、ご紹介したいとおもいます。

ぼくは、いま、『大江山絵詞』(おおえやまえことば)と呼ばれる絵巻物に描かれている酒呑童子(酒天童子)の説話について研究しています。『大江山絵詞』の絵巻物は、鎌倉時代~南北朝時代(室町時代前半)ごろにつくられたとされている、現存最古の酒呑童子説話をつたえる絵巻物です。『大江山絵詞』は、もともと、香取神宮に所蔵されていたものなので、通称として「香取本」(かとりぼん)とも呼ばれます。 (ちなみに、『大江山絵詞』(香取本)の詳細については、こちらのブログ記事で紹介しています。)

『大江山絵詞』は、酒呑童子説話についての現存最古の文献・文化財です。ですが、酒呑童子説話についての文献や芸術品は、これ以外にもたくさんあります。酒呑童子の説話は、中世から現在までの約600年以上の長い歴史のなかで、絵画や、文学、能楽(謡曲)、浄瑠璃、歌舞伎、演劇、唱歌・楽曲、映画、マンガ、アニメ、ゲームなどなど、数え切れないほどたくさんの文化や芸術に取り入れられてきました。それらのなかには、文化財として、とても価値が高いものもたくさんあります。

そうした酒呑童子説話をつたえる文献・芸術品のひとつに、現在、立命館大学アート・リサーチセンターに所蔵されている、『酒呑童子絵巻』と呼ばれる5巻の絵巻物があります。この絵巻物は、江戸時代前半の1650年ごろに、京都で作られたと推定されているそうです。

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脚注
  1. キャプチャ画像に写っているウェブページ:数奇な運命をたどった「酒呑童子絵巻」を修復し、 "みんな" で共有・活用したい。 | ブルーバックスアウトリーチ | 講談社.[↩ Back]

「ほかの人と分かちあえば、ほかの人もまた、いいことを教えてくれるだろう。そうすれば、みんながよくなる!」

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

Southern Lights.jpg by NASA's Earth Observatory on Wikimedia Commons

「虹の彼方に」 (*1)

 「大事な発見は、自分ひとりだけで
  しまっておいてはいけないよ」
 
とビッケは言います。
 
 「かくしておいたら、何も進歩しないもの。
  ほかの人と分かちあえば、ほかの人もまた、
  いいことを教えてくれるだろう。
  そうすれば、みんながよくなる!」
 
・・・・・・デキた子やなぁ。彼には多くの人々に貢献する気持ちがあるのです。その「人々」には、父ハルバルと対立している敵さえも含まれます。ビッケの最もステキなところです。

―― 幸村誠『ヴィンランド・サガ』第17巻 (*2)

 

専門知識は、それだけでは断片にすぎない。不毛である。専門家の産出物は、ほかの専門家の産出物と統合されて初めて成果となる。

―― ピーター・ドラッカー「知識ある者の責任」, 『プロフェッショナルの条件』 (*3)

 

人類の交換と専門化がこの地球のどこかで続く限り、指導者が手を貸そうが邪魔立てしようが文化は進化する。その結果、繁栄は拡大し、テクノロジーが発達し、貧困は減り、疾病が勢いを失い、人口増加は収まり、幸福が増し、暴力が減り、自由が栄え、知識が豊かになり、環境が改善し、原野が拡大する。

―― マット・リドレー「無限の可能性」, 『繁栄』 (*4)

 

「人の一生は短い。
 
 それひとつでは意味をなさない一瞬の "光" だ。
 
 だから人を愛せ。
 
 絶望する前に、いまできる最善のことを見つけろ。
 
 そうして連なり、響きあった時に、
  "光" は初めて意味をなす」

―― サイアム・ビストの言葉 『機動戦士ガンダムUC』 (*5)

 

「運命の果実を一緒に食べよう」

―― 『輪るピングドラム』 (*6)

 

『大日本仏教全書』や、群書類従ぐんしょるいじゅう近江輿地志略おうみよちしりゃく大正新修大蔵経たいしょうしんしゅうだいぞうきょうなどなどの、たくさんの人たちの、たくさんの叡智を積み上げることでつくられた、すばらしい本の数々に触れていると、「この社会って、めちゃくちゃすばらしいところだな!!!」とかんじます。
(o≧ω≦)O

これらの本は、その内容が電子データとして公開されていて、インターネットで誰でも自由に閲覧することができるようになっています。

そうした、「みんなの力をあわせてつくったものを、みんなでわかちあう」という現象にふれていると、こころの奥底から熱いものがわきあがってきて、胸のBPMが高鳴りまくってしょうがない、やる気MAXファイヤーな状態になります。

そんなこんなで、興奮冷めやらないかんじなので、そのいきおいで、これらの本の紹介をしたいとおもいます。

また、「みんなの力をあわせてつくったものを、みんなでわかちあう」という現象にふれているときに、胸をよぎる言葉も紹介したいとおもいます。

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脚注
  1. 画像の出典:「虹の彼方に」. Southern Lights.jpg by NASA's Earth Observatory on Wikimedia Commons.[↩ Back]
  2. 幸村誠 (2016年) 『ヴィンランド・サガ』第17巻(冊子版), アフタヌーンKC, 講談社, 冊子のカバーの「そで」(折り返し)のところに掲載されている著者による文章より.[↩ Back]
  3. ピーター・F・ドラッカー(著者), 上田惇生(翻訳, 編集) (2000年) 「知識ある者の責任」, 「3章 貢献を重視する」, 「Part2 働くことの意味が変わった」, 『プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか』, ダイヤモンド社, 88ページより.[↩ Back]
  4. マット・リドレー(著者), 大田直子(翻訳), 鍛原多惠子(翻訳), 柴田裕之(翻訳) (2013年) 「無限の可能性」, 「第8章 発明の発明:1800年以降の収穫逓増」, 『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』(文庫版), ハヤカワ・ノンフィクション文庫, 早川書房, 544ページより.[↩ Back]
  5. (サイアム・ビストの言葉、著者:福井晴敏、『機動戦士ガンダムUC (10) 虹の彼方に (下)』(小説)、角川書店(角川グループパブリッシング)、角川コミックス・エース、2009年、116ページ)[↩ Back]
  6. 『輪るピングドラム』の最終話「第24駅 愛してる」より.[↩ Back]

現存最古の酒呑童子説話『大江山絵詞』(香取本)の絵巻物の詞書の文章や釈文や現代語訳や詞書・絵図の並び順など

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

いわば、イデオロギッシュなものが、エロスと暴力こき混ぜた波瀾の物語に導いたわけで、皮肉ともいえるが、そこに人間の不思議と中世という時代の一面がある。中世の多くのイデオロギー説は、外見の厳めしさとはうらはらに、実際には人間の生の現実性、欲望や体臭とないまぜの形でしか存在しえなかったのである。

―― 高橋昌明『酒呑童子の誕生』 (*1)

もとより「説話」は、截然と切りとられた「形」で「存在」した“ためし”はなく、諸「領域」に或時ははめこまれ、或時は埋没伏流しつ浮遊しているのである。

―― 牧野和夫「中世聖徳太子伝と説話」 (*2)

(注:この記事は、制作中のものであり、随時内容を修正しています。)

 鎌倉時代~南北朝時代(室町時代前半)ごろにつくられたとされている、現存最古の酒呑童子説話をつたえる『大江山絵詞(おおえやまえことば)』(香取本(かとりぼん) (*3))という絵巻物があります。(この絵巻物は、現在、公益財団法人 阪急文化財団が運営している逸翁(いつおう)美術館に所蔵されています。このことから、この絵巻物は「逸翁本(いつおうぼん)」や「逸本(いつほん)」と呼ばれることもあります。)

 その『大江山絵詞(おおえやまえことば)』の、詞書(ことばがき)の文章や、詞書(ことばがき)釈文(しゃくぶん)や、詞書(ことばがき)の現代語訳や、詞書(ことばがき)と絵図の本来の並び順、などについてお話します。

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香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵図(現状の絵巻の原本の「下巻 第七絵図」)のイメージ画像 (*4)

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香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵図(現状の絵巻の原本の「下巻 第七絵図」)のイメージ画像
(絵図全体のなかの一部分の抜粋) (*4)

酒呑童子の説話をいまにつたえる代表的な2大文化財である、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』(逸翁(いつおう)美術館所蔵)と、古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』(サントリー美術館所蔵)の、2つの絵巻物について

 ちなみに、酒呑童子の説話をいまにつたえる代表的な2大文化財(絵巻物)として、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』(逸翁(いつおう)美術館所蔵)と、古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』(サントリー美術館所蔵)の、2つの絵巻物があります。

 香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』は、現在、重要文化財に指定されています (*5)が、1950年までは、国宝(いわゆる「旧国宝」)に指定されていました。1950年8月に文化財保護法が施行されたことで、それまで国宝(いわゆる「旧国宝」)であった香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』は、重要文化財に指定されました (*6)

逸翁美術館とその周辺の写真 (*7)

 もうひとつの代表的な酒呑童子説話の文化財(絵巻物)として、サントリー美術館に所蔵されている、古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』という絵巻物があります。この絵巻物も、現在、重要文化財に指定されています (*8)古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』の絵図は、狩野派(かのうは)2代目の絵師である狩野元信(かのうもとのぶ)が描いたとされている絵図です。狩野元信(かのうもとのぶ)は、通称「古法眼(こほうげん)」とも呼ばれます。サントリー美術館所蔵の『酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』は、古法眼(こほうげん)狩野元信(かのうもとのぶ))が絵図を描いた絵巻物なので、「古法眼本(こほうげんぼん)」と呼ばれることもあります。また、この絵巻物は、サントリー美術館に所蔵されていることから、「サントリー(ぼん)」や「サ本(さほん)」と呼ばれることもあります。

サントリー美術館とその周辺の写真 (*9)

 酒呑童子の説話は、中世から現在までの約600年以上の長い歴史のなかで、絵画や、文学、能楽(謡曲)、浄瑠璃、歌舞伎、演劇、唱歌・楽曲、映画、マンガ、アニメ、ゲームなどなど、数え切れないほどたくさんの文化や芸術に取り入れられてきました。そのように、酒呑童子の説話は、これまでの日本の文化や芸術に大きな影響を与えてきましたし、いまの日本の文化や芸術にも大きな影響を与え続けていますし、これからの日本の文化や芸術にも大きな影響を与え続けていくことでしょう。また、その文化的・芸術的影響は、日本だけにとどまらず、世界中に広がりつづけています。そうした、酒呑童子の説話の影響の大きさを考えると、酒呑童子の説話をいまにつたえている代表的な2大文化財(絵巻物)である、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』(逸翁(いつおう)美術館所蔵)と、古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』(サントリー美術館所蔵)の2大絵巻物が、文化財として、とても価値が高いものであるということが、おわかりいただけるかとおもいます。

目次
  1. 酒呑童子の説話をいまにつたえる代表的な2大文化財である、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』(逸翁(いつおう)美術館所蔵)と、古法眼本(こほうげんぼん)酒伝童子絵巻(しゅてんどうじえまき)』(サントリー美術館所蔵)の、2つの絵巻物について
  2. だれにもわからない、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の、絵図と詞書(ことばがき)の正しい並び順
  3. 高橋昌明さんの復元案にもとづいた、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の、絵図と詞書(ことばがき)の順序
    1. 高橋昌明さんの復元案:上巻
      1. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第一段
      2. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第二段
      3. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第三段
      4. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第四段
      5. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第五段
      6. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第六段
      7. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第七段?
      8. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第八段
      9. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第九段
      10. 高橋昌明さんの復元案:上巻 第十段
    2. 高橋昌明さんの復元案:下巻
      1. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第一段
      2. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第二段
      3. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第三段
      4. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第四段
      5. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第五段
      6. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第六段
      7. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第七段
      8. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第八段
      9. 高橋昌明さんの復元案:下巻 第九段
  4. 絵巻の原本の現状:香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の詞書(ことばがき)釈文(しゃくぶん)
    1. 絵巻の原本の現状:上巻
    2. 絵巻の原本の現状:下巻
    3. 絵巻の原本の現状:詞書巻(ことばがきかん)
  5. 陽明文庫本(ようめいぶんこぼん)酒天童子物語絵詞(しゅてんどうじものがたりえことば)
    1. 陽明文庫本(ようめいぶんこぼん)酒天童子物語絵詞(しゅてんどうじものがたりえことば)」のイメージ画像
    2. 陽明文庫本(ようめいぶんこぼん)酒天童子物語絵詞(しゅてんどうじものがたりえことば)」の文章
  6. 静嘉堂文庫(せいかどうぶんこ)色川(いろかわ)三中(みなか)旧蔵『大江山酒顚童子絵詞(おおえやましゅてんどうじえことば)』の詞書(ことばがき)
  7. 香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の詞書(ことばがき)の現代語訳
    1. 用語集
  8. 香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』に関連する諸本の詞書(ことばがき)の原文
    1. 絵巻の原本の現状:香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の詞書(ことばがき)の原文
    2. 陽明文庫本(ようめいぶんこぼん)酒天童子物語絵詞(しゅてんどうじものがたりえことば)」の詞書(ことばがき)の原文
    3. 静嘉堂文庫(せいかどうぶんこ)色川(いろかわ)三中(みなか)旧蔵『大江山酒顚童子絵詞(おおえやましゅてんどうじえことば)』の詞書(ことばがき)の原文

だれにもわからない、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の、絵図と詞書(ことばがき)の正しい並び順

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香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵巻のイメージ画像
(「上巻」「下巻」「詞書巻(ことばがきかん)」の三巻(絵巻の原本の現状)) (*10)

現在、逸翁(いつおう)美術館に収蔵されている香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵巻物の、絵図と、詞書(ことばがき)は、現状では「上巻」「下巻」「詞書巻(ことばがきかん)」の三巻の巻物のかたちになっています。ですが、この三巻の巻物のかたちにまとめられる以前は、絵図と詞書(ことばがき)が巻物のかたちにまとめられていたわけではなく、絵図と詞書(ことばがき)がバラバラになっている状態だったそうです。しかも、詞書(ことばがき)の文章や、絵図の一部が欠損している状態であったそうです。そのため、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵巻物の、もともとの絵図と詞書(ことばがき)の正しい並び順は、わからなくなってしまっているのです。ですので、現状の香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵巻物の、絵図と詞書(ことばがき)の並び順は、正しい並び順ではなく、並び順がまちがっている部分もあるようです。 (*11)

香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の、絵図と詞書(ことばがき)の、正しい並び順については、榊原悟さん (*12) や、高橋昌明さん (*13)が、復元案を提示されています。

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脚注
  1. 高橋昌明 (2005年) 「四、叡山で跳躍する」, 「第六章 酒呑童子説話の成立」, 『酒呑童子の誕生 : もうひとつの日本文化』, 中公文庫, 中央公論新社, 235ページ.[↩ Back]
  2. 牧野和夫 (1993年) 「中世聖徳太子伝と説話 : “律”と太子秘事・口伝・「天狗説話」」, 本田義憲 [ほか]編, 『説話の講座 第3巻 (説話の場 : 唱導・注釈)』, 勉誠社, 227ページ.[↩ Back]
  3. 香取本(かとりぼん)」というのは、「香取神宮本かとりじんぐうぼん」の略称です。もともと、『大江山絵詞(おおえやまえことば)』は、香取神宮かとりじんぐうの宮司家が所蔵していたものなので、このような通称で呼ばれています。[↩ Back]
  4. この絵図のイメージ画像は、香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵図(現状の絵巻の原本の「下巻 第七絵図」)をもとにして、筆者(倉田幸暢)が制作したものです。[↩ Back][↩ Back]
  5. 参考文献:(1992年) 「8 大江山絵詞」, 「作品解説」, 逸翁美術館(編), 『逸翁清賞 : 逸翁美術館名品図録』(改訂版), 逸翁美術館, 96ページ.[↩ Back]
  6. 参考文献:榊原悟 (1984) 「「大江山絵詞」小解」, 「一 伝来」, 「第二章「大江山絵詞」の概要」, 小松茂美(編), 『続日本絵巻大成 19』(土蜘蛛草紙 天狗草紙 大江山絵詞), 中央公論社, 144ページ.[↩ Back]
  7. 逸翁美術館とその周辺を撮影したこれらの写真は、筆者が2017年9月に撮影した写真です。[↩ Back]
  8. 参考文献:(2017年) 「60 重要文化財 酒伝童子絵巻」, 「第四章 和漢を兼ねる」, 「作品解説」, 狩野元信(画), 池田芙美 ほか(編), 『狩野元信 : 天下を治めた絵師 : 六本木開館10周年記念展』, サントリー美術館, 224~225ページ.[↩ Back]
  9. サントリー美術館とその周辺を撮影したこれらの写真は、筆者が2017年8月に撮影した写真と2017年9月に撮影した写真です。[↩ Back]
  10. この「香取本(かとりぼん)大江山絵詞(おおえやまえことば)』の絵巻のイメージ画像(「上巻」「下巻」「詞書巻(ことばがきかん)」の三巻(絵巻の原本の現状))」の画像は、『続日本絵巻大成 19 (土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞)』の147ページに掲載されている「大江山絵詞 現装」の写真の挿絵をもとに筆者(倉田幸暢)が制作したものです。)[↩ Back]
  11. 参考文献:高橋昌明 (2005年) 「【付録】『大江山絵詞』復元の試み」, 『酒呑童子の誕生 : もうひとつの日本文化』, 中公文庫, 中央公論新社, 260~263ページ. [↩ Back]
  12. 参考文献:榊原悟 (1984年) 「二 現状・錯簡と復原」, 「第二章 「大江山絵詞」の概要」, 「「大江山絵詞」小解」, 小松茂美(編), 『続日本絵巻大成 19』(土蜘蛛草紙 天狗草紙 大江山絵詞), 中央公論社, 149~152ページ. [↩ Back]
  13. 参考文献:高橋昌明 (2005年) 「【付録】『大江山絵詞』復元の試み」, 『酒呑童子の誕生 : もうひとつの日本文化』, 中公文庫, 中央公論新社, 260~285ページ. [↩ Back]

鬼の霊木と竜宮たる比叡山延暦寺の水神 酒呑童子

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

「根本中堂 薬師如来 御衣木旧跡」 の石標 (比叡山延暦寺 東塔北谷)
「根本中堂 薬師如来 御衣木(みそぎ)旧跡」 の石標
(比叡山延暦寺 東塔(とうどう) 北谷 八部尾 仏母塚) (*1)

 

目照りが続く中、天台座主良真(一〇二二~一〇九六)は自宗天台宗を褒め称え、他宗(真言宗)を謗り、朝廷に対して比叡山の龍尾という山岳で七仏薬師法を修するようにアピールした。しかも良真は、雨をもたらす龍王が神泉苑の池ではなく、龍尾という山岳に遊戯しているとも主張した。

(中略)

深刻な旱魃が続くなか、天台座主良真は東密を批判し、東密の神泉苑の龍王信仰を天台宗に取り入れ、新たに比叡山で樹立させようとした。

(スティーブン・トレンソン「醍醐寺における祈雨の登場」, 『祈雨・宝珠・龍:中世真言密教の深層』) (*2)

『小野類秘鈔』に「(中略)」という記述があり、それによれば水天供はすでに康平八年(治暦元年〔一〇六五〕)に比叡山で執り行われたこととなる。

(中略)

神泉苑の龍王は、東密の伝承(後述)ではインドより当苑に来住した無熱池の龍王とされた。だが、『孔雀経』によれば、無熱池の龍王は水天である。そのために、特に十一世紀後半から神泉苑の孔雀経御読経が盛行するようになった後、東密では神泉苑の龍が水天だという信仰が一般化したのである。

(中略)

要するに、東密の水天供は、古来の神泉苑龍神信仰のなかに胚胎していた水天信仰に基づいていたと推定されよう。

(中略)

況八大龍王皆蒙於閻浮提可降雨仏勅、若干眷属在法花坐、此曼荼羅中列諸龍王、因之修此法感雨也

(中略)

成尋は(中略)、彼の祖師である智証大師円珍(八一四~八九一)が、青龍寺の法全に就いて水天法及び倶梨伽羅龍王の祈雨法を学んだことを述べた。(中略)これにより、天台宗寺門派で水天の祈雨法が秘法とされていた事実が分かる。(中略)つまり、水天供が台頭した背景に、天台宗が古くから水天法の秘法を伝持しているという点を主張していたことが想像される。

(スティーブン・トレンソン「四 水天供の確立と隆盛」, 『祈雨・宝珠・龍:中世真言密教の深層』) (*3)

 

下記の文章は、現存最古の酒呑童子説話をつたえる香取本『大江山絵詞(おおえやまえことば)(*4)の上巻のなかの第5段の詞書(ことばがき)の文章の一部を釈文(しゃくぶん)にした文章です。赤文字や太文字などの文字装飾は、筆者によるものです。 (*5) (*6) (*7)

頼光(よりみつ)保昌(やすまさ)、同じ(ことば)に、「同じくは、亭主(ていしゅ)御出(おい)であらんこそ面白(おもしろ)(はべ)るべけれ。我等(われら)(ばか)りは(めずら)しからぬ同行(どうぎょう)(ども)にてある」と言はれければ、(しばら)くありて亭主(ていしゅ)童子(どうじ)()(きた)り。(たけ)一丈(いちじょう)(ばか)りなるが、眼居(まなこい)言柄(ことがら)(まこと)(かしこ)く、智恵(ちえ)(ぶか)げにて、色々(いろいろ)小袖(こそで)に、白き(はかま)(こう)水干(すいかん)をぞ着たりける。美しき女房(にょうぼう)(たち)四、五人に、(あるい)円座(えんざ)(あるい)脇息(きょうそく)持たせて、(あた)りも(かがや)(ばか)りに由々(ゆゆ)しくぞ見えし。童子(どうじ)頼光(よりみつ)に問ひ(もう)されけるは、「(おん)修行者(すぎょうざ)何方(いずかた)より(いか)なる(ところ)へとて御出(おい)(そうら)ひけるぞ」と問ひければ、答へられけるは、「諸国一見(いっけん)(ため)(まか)()でたるが、(すず)ろに山に()み迷ひて、(これ)まで(きた)る」(よし)をぞ答へられける。童子(どうじ)(また)我身(わがみ)有様(ありさま)を心に()けて語りけり。「(われ)(これ)、酒を深く愛する者なり。()れば、眷属(けんぞく)等には酒天童子(しゅてんどうじ)異名(いみょう)に呼び付けられ(はべ)るなり。(いにしえ)はよな、平野山(ひらのやま)重代(じゅうだい)私領(しりょう)として(まか)り過ぎしを伝教大師(でんぎょうだいし)といひし不思議(ふしぎ)(ぼう)()の山を(てん)じ取りて、(みね)には根本中堂(こんぽんちゅうどう)を建て、(ふもと)には七社(しちしゃ)霊神(れいじん)(あが)(たてまつ)らんとせられしを、年来(ねんらい)住所(すみどころ)なれば(かつ)名残(なごり)()しく覚え、(かつ)(すみか)もなかりし(こと)口惜(くちお)しさに、楠木(くすのき)(へん)じて度々(たびたび)障碍(しょうげ)をなし、(さまた)(はべ)りしかば、大師房(だいしぼう)()の木を切り、地を(たいら)げて、「()けなば」と(はべ)りし(ほど)に、()()(うち)(また)、先のよりも(だい)なる楠木(くすのき)(へん)じて(はべ)りしを、伝教房(でんぎょうぼう)不思議(ふしぎ)かなと(おも)ひて、結界(けっかい)(ふう)(たま)ひし(うえ)、「阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)(ほとけ)(たち)()が立つ(そま)冥加(みょうが)あらせ(たま)へ」と(もう)されしかば、心は(たけ)(おも)へども(ちから)及ばず(あら)はれ()でて、「(しか)らば、居所(いどころ)を与へ(たま)へ」と(うれ)(もう)せしに()て、近江国(おうみのくに)かが山、大師房(だいしぼう)(りょう)なりしを得たりしかば、(しか)らばとて()の山に住み()えてありし(ほど)に、桓武(かんむ)天皇、(また)勅使(ちょくし)を立て宣旨(せんじ)を読まれしかば、王土(おうど)にありながら、勅命(ちょくめい)さすがに(そむ)(がた)かりし(うえ)天使(てんし)(きた)りて追ひ(いだ)せしかば、(ちから)無くして(また)()の山を迷ひ()でて、立ち宿(やど)るべき(すみか)もなかりし(こと)口惜(くちお)しさに、風に(たく)し雲に乗りて、(しばら)くは浮かれ(はべ)りし(ほど)に、時々(ときどき)()怨念(おんねん)(もよお)す時は、悪心(あくしん)()()て、大風(おおかぜ)()旱魃(かんばつ)()りて、国土(こくど)(あだ)()して心を(なぐさ)(はべ)りき。

 

「すごくおおざっぱなバージョン1」から始める

starting with a very crude version 1, then (f) iterating rapidly.

―― Paul Graham, Six Principles for Making New Things (*8)

非常に粗雑なバージョン1から始め、その後(f)素早く繰り返す。

―― ポール・グレアム「新しいものを作る6つの原則」 (*9) (*10)

プログラマーで、エッセイストで、起業家で、投資家でもある、ポール・グレアムPaul Graham)という人がいます。

そのポール・グレアムさんが、「新しいものを作る6つの原則」(Six Principles for Making New Things)というエッセーのなかで、「すごくおおざっぱなバージョン1からはじめましょう」(不完全でも、見ばえが悪くてもかまわないので、できるだけ早くはじめましょう。そして、そのあとで、改善をくりかえしていきましょう)というような意味のことを言っています。

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比叡山延暦寺の3D地図

古くからの登拝路は廃れ、表参道であった本坂でさえ今は草に埋もれている。いわんや谷に沿い、嶺をつたってひらかれた山間の諸道は、いずれも深い歴史を秘めていながら寺院関係者や、ここを生業の場所とする杣人に伝えられるばかりとなっている。
 北村は故郷の山の変貌に気がついていた。「早よう聞いとかんと判らんようになる」といって坂本の人々に尋ねて歩いた。それは山林管理に長年従事してきた古老のような、山を熟知した人が少なくなったという危機感からであった。彼は伝承の収集と共に、限られた休暇をつかって山中を歩き、古道の踏査に精を出した。道標や石碑は克明に採寸し、文字を写し取っていった。こうした地味な作業を続ける内に、それらが比叡の歴史につながっているのを感じ始めていた。

―― 近江百山之会『祷の嶺:北村賢二遺稿集』 (*11)

3D地図の操作方法
回転:マウスの左クリックを押しながらマウスを動かす。
視点移動:マウスのホイールを押したまマウスを動かす。
拡大縮小:マウスのホイールを回転させる。

地図1 比叡山延暦寺の広域地図(3D地図)

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脚注
  1. 「東塔」という言葉の読み方については、現在では一般的に「とうどう」と読む場合が多いようです。ですが、そのほかにも、「とうとう」と読む場合もあります。

    「東塔」という言葉に「とうどう」という読み仮名(振り仮名)をつけている文献の例としては、つぎのような文献があります。
    【文献1】武覚超 (2008年) 『比叡山諸堂史の研究』, 法藏館, 223ページ。
    【文献2】梅原猛,今出川行雲,梅原賢一郎,奥田昭則 (2010年) 『横川の光:比叡山物語』, 角川学芸出版, 22ページ。

    「東塔」という言葉に「とうとう」という読み仮名(振り仮名)をつけている文献の例としては、つぎのような文献があります。
    【文献1】 (1991年) 『日本歴史地名大系 第25巻 (滋賀県の地名)』, 平凡社, 183ページ。
    【文献2】「東塔」, 「地名・寺社名解説」 (2001年) 馬淵和夫(校注・訳者), 国東文麿(校注・訳者), 稲垣泰一(校注・訳者), 『新編日本古典文学全集 37:今昔物語集 3』(『今昔物語集』第20巻~第26巻), 小学館, 634ページ(1段目)。

    (余談ですが、ぼくは、2018年11月13日に、比叡山延暦寺の東塔地区にある本願堂旧跡の石碑のちかくで、山歩きをされていた60歳代ぐらいの男性に出会い、意気投合して、その方から比叡山についてのいろいろなお話を聞かせていただく機会がありました。(その男性は、比叡山の東側の麓である大津市坂本にお住まいの地元の方でした。)その男性は、「東塔」のことを「とうとう」と発音されていました。ですので、もしかすると、比叡山の東側の麓の大津市坂本のあたりにお住まいの地元の方々のなかの、ある一定の年齢層以上の世代の方々にとっては、「東塔」のことを「とうとう」と発音することが一般的なのかもしれません。)
    [↩ Back]

  2. 出典:スティーブン・トレンソン (2016年) 「(1) 醍醐寺における祈雨の登場」, 「二 醍醐寺における祈雨」, 「第五章 請雨経法の途絶と醍醐寺における祈雨」, 「第一部 請雨経法の歴史」, 『祈雨・宝珠・龍:中世真言密教の深層』, プリミエ・コレクション 72, 京都大学学術出版会, 181~182ページ.[↩ Back]
  3. 出典:スティーブン・トレンソン (2016年) 「四 水天供の確立と隆盛」, 「第六章 鎌倉時代における請雨経法の復興と終焉」, 「第一部 請雨経法の歴史」, 『祈雨・宝珠・龍:中世真言密教の深層』, プリミエ・コレクション 72, 京都大学学術出版会, 213~218ページ.[↩ Back]
  4. 香取本『大江山絵詞(おおえやまえことば)』(現在は、逸翁美術館に所蔵されています。)[↩ Back]
  5. 参考文献:(1993年) 「大江山絵詞」, 小松茂美(編者), 『続日本の絵巻 26』(土蜘蛛草紙 天狗草紙 大江山絵詞), 中央公論社. [↩ Back]
  6. 参考文献: (1984年) 「大江山絵詞」, 小松茂美(編者), 『続日本絵巻大成 19』(土蜘蛛草紙 天狗草紙 大江山絵詞), 中央公論社. [↩ Back]
  7. 参考文献: (1975年) 「大江山酒天童子(逸翁美術館蔵古絵巻)」, 横山重(編者), 松本隆信(編者), 『室町時代物語大成 第3』, 角川書店. [↩ Back]
  8. 引用元:Paul Graham, Six Principles for Making New Things.[↩ Back]
  9. 引用元:ポール・グレアム(著者), lionfan(日本語版の翻訳者), 「らいおんの隠れ家 : ポール・グレアム「新しいものを作る6つの原則」 - livedoor Blog(ブログ)」.[↩ Back]
  10. 原文:Paul Graham, Six Principles for Making New Things.[↩ Back]
  11. 近江百山之会 (1988年) 「比叡山資料」, 北村賢二(著者), 近江百山之会(編集者), 『祷の嶺:北村賢二遺稿集』, サンブライト出版, 74ページ.[↩ Back]

「死を超えるものが欲しい」:幸村誠さんはどのような想いをもって『ヴィンランド・サガ』や『プラネテス』のマンガを描いておられるのでしょうか?

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

Over the Death Fence (*1)

 

僕がもし、今まさに飛び降りんとするその二人と、フェンス越しに話をするチャンスに恵まれたとして、何を言えば、また何をしたら、二人は金網のこっちに戻ってきてくれるんだろうか。

―― 幸村誠、『プラネテス』第3巻 (*2)

そんなアルネイズに
「だから生きろ」と言えるだけの言葉が
すぐには出てこなかった
 
死を超えるものが欲しい
 
アルネイズに胸を張って語ることができる
死を超えた救いと安らぎが生者の世界に欲しい
 
無いなら 作る
 

―― トルフィンの言葉、『ヴィンランド・サガ』第13巻 (*3)

 

目次
  1. はじめに
  2. 「なぜ・・・・・生きなければならないの?」
    1. 「死ぬ理由はないけど生きてる理由もない」と書き遺して死んだ二人の女の子
    2. 「穿つ問い掛け」
    3. 「アルネイズのために」という言葉に込められた、もうひとつの意味
      1. 第93話の扉絵の、微笑むアルネイズの絵が意味するもの
    4. 「死ぬとか、生きるとか、それらの意味とか」「やっぱり考えてしまうのです」
  3. 行き場のない人たちはどこへ行けばいいのか?
    1. 「行き場のない人たち」
    2. 「ここではないどこかに・・・・・・」
    3. 「私は船に乗りたいの!」
    4. 孤独な「家なき鳥」クリーア
    5. 「そのために生きなさい」
    6. 「世界はそこだけ、なんて風に考えるのはかなしい」
    7. 「きっといたと思います」
  4. 「本当の戦士」とはなにか?
    1. トールズが目指したもの
    2. アシェラッドが待ち望んだ「英雄」
    3. 「世界最強」のトルケルより強い者
    4. トルフィンの「本当の戦い」
      1. 「誓い」
      2. 「本当の戦い」
      3. 「最初の手段」
      4. 「戦士の誕生」
      5. 「無敵」
    5. 「まず逃げなさい」
      1. 「勝手に二択にするな」
    6. 「こうだったらいいのになとボクが願う主人公像、人間像」
      1. 「だめだった時期の経験もすべて無駄にならないような成長過程を経ているんじゃないか」
  5. 「愛」とはなにか?
    1. 「悪魔みたいな男」ロックスミスの「愛」
    2. 「酒呑み坊主」ヴィリバルドが語る「愛」と「愛という名の差別」
    3. 「叛逆の帝王」クヌートの「愛」と「楽土」
      1. 「ふたつの楽土」
    4. 「惑う人」星野八郎太の「愛」と「つながり」
    5. 「プラネテス」の意味は「迷い子たち」
    6. 「人は人にとって」
  6. なぜ生きるのか、なぜ描くのか
    1. 「漫画という「考える装置」」
    2. 「ボクは、ボクが教わったことを全力でこの漫画に描くつもりです」
  7. そのほかの話題
    1. 2つの「プロローグの終わり」
    2. 実在の人物であるトルフィン
    3. アニメ版の『プラネテス』のご紹介
    4. アニメ版の、いろいろな言語での「プラネテス」という言葉のモーフィング映像について
    5. 『ヴィンランド・サガ』が、ついにアニメ化!
    6. 『ヴィンランド・サガ』のトルフィンが、ゲームや、ショートアニメに登場!
    7. 『プラネテス』に登場した印象的な言葉
  8. 参考資料
    1. 参考資料:マンガ『プラネテス』関連
      1. インタビュー記事
    2. 参考資料:アニメ『プラネテス』関連
    3. 参考資料:マンガ『ヴィンランド・サガ』関連
      1. インタビュー記事

はじめに

『ヴィンランド・サガ』や、『プラネテス』というマンガの作者である、幸村誠さんという漫画家さんがおられます。

ぼくは、『ヴィンランド・サガ』と、『プラネテス』は、ほんとうにすばらしい作品だと、こころの底からおもいます。

もし、「あなたが1番おもしろいとおもうマンガを紹介してください」と誰かに聞かれたら、『プラネテス』と『ヴィンランド・サガ』を紹介します。

それくらい、この2つのマンガはすばらしい作品だとおもいます。

また、そういった作品を描いていらっしゃる作者である幸村誠さんも、とても興味深い人だとおもいます。

『プラネテス』と、『ヴィンランド・サガ』には、作者である幸村誠さんの問題意識があらわれているように感じられるところがたくさんあります。

そこで、今回は、「幸村誠さんが、『ヴィンランド・サガ』や『プラネテス』の作品を描くにあたって、どんな思いをもってマンガを描かれているのだろうか?」、ということをかんがえてみたいとおもいます。

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脚注
  1. 無料の写真: 手, ブーケ, フェンス, ギフト, 与えます, 祝います, 関係 - Pixabayの無料画像 - 1549224 by klimkin on Pixabay[↩ Back]
  2. (幸村誠、(冊子のカバーの折り返しのところに掲載されている著者による文章)、『プラネテス』第3巻(冊子版)、アフタヌーンKC、講談社、2003年)[↩ Back]
  3. (トルフィンの言葉(幸村誠、「第93話 戦士の誕生」、『ヴィンランド・サガ』第13巻 Kindle版、アフタヌーンコミックス、講談社、2013年、185~190ページ))[↩ Back]

おもしろいつながりと、新たな世界への「扉」

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

新たな世界への扉

(*1)

 

「どんな問題をやるにせよ、
 それをやらなければ生きてゆけないというテーマを探すのですね」

―― 上原専禄の言葉(阿部謹也、『自分のなかに歴史をよむ』) (*2)

 

「私は一夜にして研究者となった」―この頃にはすでにシュパヌートは、自分が死ぬまでこの伝説から解放されることはあるまいという予感を抱いていた。「私は鼠捕り男に身も魂も奪われてしまったのである」と。

―― 阿部謹也、『ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界』 (*3)

 

おもしろいつながりと、新たな世界への「扉」

新たな世界への「扉」 (*4)

ぼくが本を読んでいてとても胸が高鳴るのは、別々の本に書かれている一見まったく関係ないことがらのあいだに、おもしろいつながりを感じるときです。

そいうときは、もう、だれかにそのことを話したくて話したくてしょうがない、ウズウズした気持ちになります。

そうやって、新しい世界に足を踏み入れていくのがたのしいです。

ぼくは、これまでに、いろいろな本に新たな世界への「扉」を開いてもらいました。

なので、ぼくもだれかを新たな世界への「扉」の先へと案内してあげられたらいいなとおもっています。

下の写真のなかの本は、ぼくがとても知りたいとおもっているたいせつなことがらのなかで、いまとくに興味があるいくつかのことがらについて、いろいろとつながりを感じている本です。

ちなみに、下のURLの記事の動画も、こうした本を読んで知ったおもしろいことを、ほかの人たちにも紹介したくてつくったもののひとつです。

http://wisdommingle.com/?p=13001

こうしたものをとおして、いろいろな人たちに、いろんなおもしろいことを紹介できたらいいなとおもっています。

「ほら、新しい世界へのドアが開いた。
 
 わたしはそこで何を見つけられるかな」

(アーシュラ・K・ル=グウィン、『いまファンタジーにできること』) (*5)

 

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脚注
  1. 無料の写真: 図書, ストーリー, フォレスト, 不思議な世界, マジック, ドア - Pixabayの無料画像 - 2885315 by Reinhardi, on Pixabay)[↩ Back]
  2. (上原専禄の言葉(阿部謹也、「ハーメルンの笛吹き男とは」、「第五章 笛吹き男との出会い」、『自分のなかに歴史をよむ』、ちくま文庫、筑摩書房、18ページ))[↩ Back]
  3. (阿部謹也、「伝説の中を生きる老学者」、「現代に生きる伝説の貌」、『ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界』、ちくま文庫、筑摩書房、1988年、295ページ)[↩ Back]
  4. 「新たな世界への「扉」」、Mum and her kids reading book in a tepee tent . Ve by masastarus on Envato Elements[↩ Back]
  5. (アーシュラ・K・ル=グウィン、翻訳:谷垣暁美、「メッセージについてのメッセージ」、『いまファンタジーにできること』、河出書房新社、2011年、174ページ)[↩ Back]

うっほほーい!劇団ごちゃまぜの団員お披露目!

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

「我々は1つの動画をアップした。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!!!」 (*1) (*2) (*3)
(o≧ω≦)O

以前、MMDなどのための3Dモデルをつくっている3Dモデラーさんが、「キャラクターの3Dモデルをたくさんつくれば劇団がつくれそうですね」というようなことを書いておられるのを見て、「なるほど、それはいいな!」とおもいました。

そんなこんなで、ぼくも自前の「劇団」をつくるべく、2Dアニメの2Dモデルのキャラクターを複数体つくって、そのそれぞれのキャラクターに役者さんのような役割をしてもらって、いろいろな映像作品がつくれたらいいなと妄想しています。

この記事の冒頭にある動画に出ているようなキャラクターたちにご出演いただいて、ミニアニメやプチアニメというような形式の映像をつくってみようとおもっているので、そのための、2Dモデルのキャラクターをつくってみました。

この動画は、そんな、もうそろそろ動きはじめるかもしれない「劇団ごちゃまぜ」の「団員さん」のお披露目の動画です。

ほんの11秒だけの動画ですが、これからこんなかんじで、「劇団ごちゃまぜ」の「団員さん」たちによるめくるめくドラマがドシドシ展開されていく・・・・・かもしれません。

続きを読む


脚注
  1. (参考:「ギレンの演説【実写版】ギレン・ザビ演説 ~ガルマ国葬~ 生アフレコ - YouTube」、https://www.youtube.com/watch?v=JIS5gLNPClk[↩ Back]
  2. (参考:「ギレンの演説」、http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/4071/gundam/g_setsumei/girennoenzetu.html[↩ Back]
  3. (参考:「語れ!ギレン閣下!」、http://center.ed.kanazawa-u.ac.jp/~taguchi/taguo/ai/giren.htm[↩ Back]

声優さんや、ナレーターさんに、アフレコや、ナレーションを依頼できる、クラウドソーシング・アウトソーシング・マッチングサイトのサイト集

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

(*1)

 

「みんなののぞみはただひとつでした。
 
 なぜなら、みんな芝居がすきですきで
 たまらない人たちだったからです。
 
 そして、舞台のうえで演じられる悲痛なできごとや、
 こっけいな事件に聞きいっていると、
 
 ふしぎなことに、ただの芝居にすぎない舞台上の人生のほうが、
 
 じぶんたちの日常の生活よりも
 真実にちかいのではないかと思えてくるのです。
 
 みんなは、このもうひとつの現実に耳をかたむけることを、
 こよなく愛していました。」

――― ミヒャエル・エンデ、『モモ』 (*2)

「科白を語る者が、神かそれとも英雄か、円熟の老人か
 
 それとも青春たけなわの熱血漢か、堂々たる貴婦人か
 
 それともまめまめしい乳母か、
 
 行商人かそれとも緑の野を耕す農夫か、
 
 コルキス人かそれともアッシリア人か、
 
 テーバイ育ちかそれともアルゴス育ちか、
 
 どちらかによって大きなちがいが生じるだろう。」

――― ホラティウス、『詩論』 (*3)

声優さん(ネット声優さんも含む)や、ナレーターさんに、アフレコアテレコ)や、ナレーションなどの仕事を依頼することができる、クラウドソーシングアウトソーシングマッチングサイトのウェブサイトをご紹介します。

ここで紹介させていただく情報が、声優さんやナレーターさんたちに協力していただける機会が増えることにつながり、それによって、すてきな映像作品・音声作品などが増えていく一助になればうれしいです。
m(_ _)m

続きを読む


脚注
  1. Song Recording by Singer photo by duallogic on Envato Elements[↩ Back]
  2. (ミヒャエル・エンデ、翻訳:大島かおり、「1章 大きな都会と小さな少女」、「第一部 モモとその友達」、『モモ』、岩波少年文庫127、岩波書店、2005年、12ページ)[↩ Back]
  3. (ホラティウス(訳 松本仁助、岡道男)、「ホーラティウス『詩論』」、『アリストテレース 詩学・ホラーティウス 詩論』、岩波文庫、1997年、237ページ)[↩ Back]

Perfumeのダンスモーションと楽曲をつかってBlenderでつくった3Dモデルをアニメーションさせてみました

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

この動画では、Perfume(パフューム)の公式サイトで、「global site project #001」として配布されている、Perfumeのダンスのモーションデータと楽曲を利用させていただいて、Blenderでモデリングしてつくった3Dモデルをアニメーションさせてみました!

ほんとは、Perfume(パフューム)のお三方の三人分のモーションデータが利用できるのですが、今回は、大人の事情があったりなかったりで、かしゆかさんのダンスのモーションデータだけを利用させていただくことになりました。

またいつか、Perfume(パフューム)のお三方揃い踏みの3Dアニメーションをつくってみたいとおもいます。

ちなみに、この動画は、解像度が 4K(2160p(横3840ピクセル✕縦2160ピクセル))で、
フレームレートが 59.94fps という、けっこう気合の入った画質になっています。

なので、もし興味があれば、YouTube動画の画面右下の歯車のマークから「画質」を変更して、高画質の映像をお楽しみください。

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