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「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のレポート(世界鬼学会設立25周年記念イベント)

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

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世界鬼学会設立25周年記念「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のチラシ

ここでは、2019年11月9日に、大江山鬼伝説の地・京都府福知山市大江町にて、日本の鬼の交流博物館(鬼博おにはく)を拠点としている世界鬼学会の主催で開催された、世界鬼学会設立25周年記念イベントの、「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のレポートをおつたえします。

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広島神楽公演(北広島町「旭神楽団」):演目「大江山」
(鬼シンポジウム in ふくちやま2019)


広島神楽公演(北広島町「旭神楽団」):演目「大江山」
(鬼シンポジウム in ふくちやま2019)


広島神楽公演(北広島町「旭神楽団」):演目「八岐大蛇やまたのおろち
(鬼シンポジウム in ふくちやま2019)

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大江町総合会館 イベントホール (*1)
(京都府福知山市大江町河守)

▲ もくじへもどる

世界鬼学会ってなに?

ここでご紹介している「鬼シンポジウム in ふくちやま2019」のイベントを主催しているのは、世界鬼学会です。

世界鬼学会(鬼学会)というのは、鬼好きな人たちや鬼に興味がある人たちが集まるコミュニティーです。鬼学会の拠点は、酒呑童子伝説の舞台である大江山の中腹にある、日本の鬼の交流博物館(愛称:鬼博おにはく)です。

日本の鬼の交流博物館(鬼博おにはく)がある京都府福知山市大江町は、鬼にまつわる3つの伝説が残る鬼伝説の地です。その3つの鬼伝説というのは、つぎの3つの伝説です。

鬼学会は、このような鬼伝説の地である福知山市大江町から、鬼にまつわる情報を発信したり、鬼についてのイベントを開催したりしています。

世界鬼学会では、鬼の伝説に興味がある人や、鬼好きな人を対象として、鬼学会の会員を募集しています。

鬼学会の会員になるための手順は、こちらでご案内しています。

 

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脚注
  1. この写真は、2019年11月に筆者が撮影した写真です。 [↩ Back]

無動寺谷(比叡山延暦寺)の修験道山伏が、香取本『大江山絵詞』の祖型となった酒呑童子説話にあたえた影響

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

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無動寺谷むどうじだに明王堂みょうおうどうと、相応和尚そうおうかしょうの石像と、客人宮まろうどのみや白山神社はくさんじんじゃ(*1)
無動寺谷むどうじだに, 比叡山延暦寺)

 

座主無動寺に侍りける頃十首むかし歌つかはしける返事の中に

ながき夜の更ゆく月をなかめても近つく闇をしる人ぞなき
(後京極殿御自歌合)

―― 硲慈弘「無動寺」, 「山の部」, 「叡山和歌集」, 『伝説の比叡山』 (*2)

 

このブログ記事は、まだ書きかけの状態ですが、「すずろ作法すずりんぐ」というかんがえかたにもとづいて、ある程度できたところで公開して、そのあとで、随時、内容を追加・修正する方法をとっています。更新通知をうけとるには、メールマガジンに登録していただいたり、ソーシャルメディアでフォローしていただければとおもいます。

 

現存最古の酒呑童子説話をつたえる絵巻物である、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばのなかで描かれている酒天童子(酒呑童子)の物語の成立には、比叡山延暦寺の天台宗教団がふかくかかわったとされています。

ここでは、その比叡山延暦寺の天台宗教団のなかでも、とくに、比叡山延暦寺の無動寺谷むどうじだにに所属していた修験道の山伏(修験者)や、無動寺谷むどうじだにに関連があった記家のひとたち(学僧)が、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばのなかで描かれている酒天童子(酒呑童子)の物語の創作に、ふかくかかわったのではないか、という可能性について、かんがえてみたいとおもいます。

目次
  1. 香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばに描かれている酒呑童子説話の成立に、比叡山延暦寺の天台宗教団がふかくかかわっていたことについて
  2. 酒呑童子説話の祖型をつくった比叡山延暦寺の記家と、無動寺谷の修験道山伏との関係
    1. 記家きけと呼ばれた学僧の人たちってどんな人たちだったの?
      1. 光宗、『渓嵐拾葉集』
      2. 義源、梶井流記家の重要人物
      3. 鎌倉初期の顕真
    2. 無動寺谷の智信(知心)が、記家に影響をあたえたことについて
    3. 江戸時代の無動寺谷の学僧である真超、記家
  3. 早尾権現と、素戔嗚命と、荒神と、不動明王と、慈円と、無動寺谷の修験道山伏とのつながり
    1. 慈円と、竹台山王社と、早尾権現と、大行事権現と、無動寺谷
  4. 不動明王の尊称である「大聖不動明王」という呼称について
  5. 大威徳明王と、相応和尚と、無動寺谷
  6. 香取本『大江山絵詞』の四神のなかに、熊野の神の化身(山伏)が登場する理由
  7. 慈円(慈鎮和尚)と、無動寺谷の修験道
    1. 慈円(慈鎮和尚)は、修験者であった
  8. 謡曲「大江山」と、観世太夫と、室町幕府の将軍と、青蓮院門跡と、無動寺谷
  9. 平野山ひらのやま」とは、比良山地ひらさんち比叡山地ひえいさんち石山いしやま石山寺いしやまでら)をふくむ一帯のことであり、酒天童子(酒呑童子)はその一帯の地主神じぬしがみである比良明神ひらみょうじんとして描かれている
  10. 近江国おうみのくにかが山」が、己高山こだかみやまである可能性と、白山信仰について
    1. 近江国おうみのくにかが山」が、伊吹山いぶきやまである可能性と、白山信仰について
    2. 近江国おうみのくにかが山」が、比良山地ひらさんち権現山ごんげんやまである可能性と、白山信仰について
  11. 無動寺谷の玉泉坊流もふくめた、数ある天台宗系の修験道の始祖が、智証大師円珍ちしょうだいしえんちんである可能性について
    1. 三不動さんふどう園城寺おんじょうじ三井寺みいでら)の黄不動きふどう高野山こうやさん明王院の赤不動あかふどう青蓮院しょうれんいん青不動あおふどう)と、智証大師円珍ちしょうだいしえんちんの関係
  12. 水天童子すいてんどうじという護法童子の名称が起源となって、酒天童子しゅてんどうじという名称がうまれた可能性について
    1. 水天童子すいてんどうじ円珍えんちん弁慶水べんけいすい千手水せんじゅすい)の伝承と、熊野くまの那智なちとの関係
    2. 護法童子としての酒天童子(酒呑童子)
    3. 比叡山の地主神じぬしがみ水神すいじん)としての酒天童子(酒呑童子)
      1. 比叡山と、水を得ることを目的とした信仰(水神信仰)
    4. 天台座主良真が喧伝しようとした、天台宗の祈雨の霊験と、比叡山延暦寺の龍王・龍神(水神すいじん)説話の創作と、水天供すいてんく
      1. 「龍尾という山岳」が、龍尾山や龍尾水(天龍水)のことである可能性について
      2. 良真と、天台座主慶命けいみょうと、無動寺谷むどうじだにの修験道と、白山信仰
        1. 藤原道長ふじわらのみちながと、慶命けいみょうと、無動寺谷むどうじだにの関係
    5. 香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばに描写されている水神すいじんとしての酒天童子(酒呑童子)
      1. 酒天童子(酒呑童子)の宮殿(鬼が城)の壇上積基壇だんじょうづみきだん羽目石はめいしに描かれた「波の文様」
      2. 酒天童子(酒呑童子)の首を運ぶ輿こしに載せられた、酒天童子(酒呑童子)の首が入っている容器の底で波打つ水
    6. 水天すいてん(=ヴァルナ=龍神・水神)
  13. 比叡山延暦寺の3D地図

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脚注
  1. この写真は、2019年5月に筆者が撮影した写真です。 [↩ Back]
  2. 出典:硲慈弘 (1928年) 「無動寺」, 「山の部」, 「二、叡山和歌集」, 「附録」, 『伝説の比叡山』, 近江屋書店, 111ページ. [↩ Back]

Q&A:「比叡山延暦寺の酒呑童子ゆかりのおすすめ鬼スポットを教えてくださいな♬」

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

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比叡山遠望 (*1)
(京都市左京区の馬橋(馬橋人道橋)(高野川) より撮影 (*2)

 

わが山は 花の都のうしとらに 鬼かどを ふたぐとぞ聞く

―― 慈円『拾玉集』第四冊 [歌番号:4800] (*3) (*4)

 

先日、つぎのようなご質問をいただきましたので、この場を借りてお答えしたいとおもいます。

いただいたご質問の大意: 「比叡山延暦寺の酒呑童子ゆかりのおすすめ鬼スポットを教えてくださいな♬」

ご質問いただき、ありがとうございます!
m(_ _)m

ぼくなりの比叡山延暦寺の酒呑童子ゆかりのおすすめスポットについて、これまでにぼくが発信させていただいだ情報のなかでは、下記の2つの記事が参考になるかもしれません。

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脚注
  1. この写真は、筆者が2019年4月に撮影した写真です。 [↩ Back]
  2. 参考:「馬橋(馬橋人道橋)(高野川)」(京都府京都市左京区松ケ崎小竹藪町)の場所の、おおまかな緯度経度:35.048489, 135.785017 . [↩ Back]
  3. 出典:慈円 (慈鎮和尚) [歌番号:4800], 「第四冊」, 慈円 (原著), 石川一, 山本一, (2011年), 『拾玉集 下』, 和歌文学大系 ; 59, 明治書院, 121ページ. [↩ Back]
  4. 引用文のなかの振り仮名の一部を、引用者が変更しました。 [↩ Back]

山魈(マンドリル)の五色、大猩猩(ゴリラ)の黒色、白猿(ハヌマンラングール)の白色をあわせもつ、サイケデリックな「色々」のサルとしての酒呑童子

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

Glass Lillies
五色の鬼王サイケデリック・エイプ(*1) (*2)

 

おもえば宇宙の広大なこと、生命あるものの数は多く、陰陽はあたため養って、さまざまな種別があり、精気はいり交って、互いにはげしく湧きたつ。幽霊や怪物は物象ものに触れてけ、山川に形を現わしたり、木石にすがたをみせるなど、いちいち言うまでもない。だから互いに矛盾するところを総合して、これを一つのひびきに打ち合わせ、その変化するところを成就させて、これを一つのかたちに融合すれば、世にいう異常も、それが異常であるといいきれないし、世にいう異常でないことも、それが異常でないといいきれない。

―― 郭璞かくはく「山海経序」, 『山海経』せんがいきょう (*3)

 

このブログ記事は、まだ書きかけの状態ですが、「すずろ作法すずりんぐ」というかんがえかたにもとづいて、ある程度できたところで公開して、そのあとで、随時、内容を追加・修正する方法をとっています。更新通知をうけとるには、メールマガジンに登録していただいたり、ソーシャルメディアでフォローしていただければとおもいます。

現存最古の酒呑童子説話をつたえる絵巻物である、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばのなかで描写されている酒天童子(酒呑童子)のすがたには、「サル」としての要素がふくまれているところがいくつかあります。

おおまかに言うと、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばのなかで描写されている酒天童子(酒呑童子)のすがたには、下記の3つの「サル」の要素がふくまれている、と言えるとおもいます。

  • 山魈さんしょう(マンドリル)
  • 大猩猩おおしょうじょう(ゴリラ)
  • 白猿はくえん(ハヌマンラングール)

 

Mandrill at Singapore Zoo
五色ごしきもどろく」山魈さんしょう(マンドリル) (*4) (*5)

 

おにかしらあかく、左の足はくろく、右の手はに、右の足はしろく、左の手はあおく、五色ごしきもどろきて、まなこ十五とお あまり いつつつのいつつぞ生ひおいたりける。

―― 鬼の姿となった酒天童子のようす, 香取本『大江山絵詞』 (*6)

 

Gorilla
むねたたしばりて、まなこいからかす」大猩猩おおしょうじょう(ゴリラ) (*7) (*8)

 

すずろにはら据ゑすえかねて、むねたたしばりて、まなこいからかしてはべなり

―― 激怒する酒天童子のすがた, 香取本『大江山絵詞』 (*9)

 

Gray Langur, Jim Corbett National Park, India.
てんひとしきおおいなるひじり」(斉天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくう)の原型、白猿(ハヌマンラングール) (*10) (*11)

 

丹後大江山の酒顚童子は古の盗賊なり。鬼の形をまねて、人の財をかすめ、婦女をぬすみとる。もろこしの白猿伝と云書にしるせり。白猿の所作と相似たり。

―― 貝原益軒『扶桑記勝』巻六 (*12) (*13) (*14)

 

この記事では、これらの3つの「サル」の要素と、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばの酒天童子(酒呑童子)との関係について、いろいろな観点からお話してみたいとおもいます。

目次
  1. 香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばの酒天童子(酒呑童子)がもつ3つの「サル」の要素:山魈さんしょう(マンドリル)、大猩猩おおしょうじょう(ゴリラ)、白猿はくえん(ハヌマンラングール)
  2. 五色ごしきもどろく」山魈さんしょう(マンドリル)
    1. アフリカのマンドリルの極彩色ごくさいしきの体色についての情報と、中国の山魈さんしょうなどの妖怪の伝承が混交して、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばの酒天童子の五色ごしきの体色に影響をあたえた可能性と、その伝承の混交と伝播の経路についての仮説
    2. 中央アフリカの西部に生息するマンドリルや、ウェスタンローランドゴリラの伝聞などが、中国を経由して日本につたわった可能性について
    3. 『荊楚歳時記』けいそさいじきなどの文献に記された「山臊さんそうの悪鬼」や、「山㺐さんそうの鬼」、「山繅さんそう」、「山𤢖さんそう」、「山魈さんしょう」、「」、「鬼魅きみ」、「狐魅こみ」などの妖怪
      1. 最澄さいちょうなどの中国に渡った天台宗関係の仏教僧などが、江南こうなん天台山てんだいさんの地域につたわっていた山魈さんしょう山臊さんそう山𤢖さんそう、山精)の伝承を、中国大陸から日本にもちかえってきた可能性について
    4. 『抱朴子』ほうぼくしに記された「五色の山精」や「一本足の山精」などの妖怪
    5. 『聊斎志異』りょうさいしいに記された山魈さんしょうの姿
    6. 山魈さんしょうは、比叡山の地主神じぬしがみ(山の神)と、酒呑童子とをむすぶ網目のなかの交点のひとつ
    7. 比叡山の最古の地主神じぬしがみ(サル神、山神)としての酒天童子(酒呑童子)
      1. 比叡山の地主神じぬしがみとしての酒天童子(酒呑童子)
      2. 比叡山・日吉大社最古の山神であるサル神(大行事権現)と、途中でやってきた大山咋神おおやまくいのかみ二宮権現にのみやごんげん)と、最後にやってきた大己貴神おおなむちのかみ大宮権現おおみやごんげん
        1. 参考:『日吉社袮宜口伝抄ひえしゃねぎくでんしょう』が偽書であることについて
        2. 双葉葵ふたばあおい二葉葵ふたばあおい)の神紋しんもんと、渡来人である秦氏はたうじと、今来いまきの神である大山咋神おおやまくいのかみと、比叡山・日吉大社の古来の地主神じぬしがみである猿神(山神)との関係
          1. 零落した猿神を信仰していた芸能者たちの没落と、香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことば田楽でんがくかなで舞い踊る鬼たち
          2. 参考:双葉葵ふたばあおい二葉葵ふたばあおい)の神紋しんもんや、秦氏はたうじにゆかりのある神社・寺院
            1. 日吉大社ひよしたいしゃ 東本宮ひがしほんぐう
            2. 松尾大社まつのおたいしゃ
            3. 賀茂別雷神社かもわけいかずちじんじゃ(通称:上賀茂神社かみがもじんじゃ
            4. 賀茂御祖神社かもみおやじんじゃ(通称:下鴨神社しもがもじんじゃ
            5. 木嶋坐天照御魂神社このしまにますあまてるみたまじんじゃ(別称:木嶋神社このしまじんじゃ)(併設:蚕養神社(蚕ノ社かいこのやしろ))
            6. 広隆寺こうりゅうじ(別称:太秦寺うずまさでら
            7. 大酒神社おおさけじんじゃ
            8. 伏見稲荷大社ふしみいなりたいしゃ
      3. 香取本かとりぼん『大江山絵詞』おおえやまえことばの「平野山ひらのやま」とは、比良山地ひらさんち比叡山地ひえいさんち石山いしやま石山寺いしやまでら)をふくむ一帯のことであり、酒天童子(酒呑童子)はその一帯の地主神じぬしがみである比良明神ひらみょうじんとして描かれている
      4. 相応和尚そうおうかしょうに仮託して、天台宗の教団が奪い取った、比良山地ひらさんち地主神じぬしがみ思古渕明神しこぶちみょうじん)の領地と信仰
    8. 魑魅ちみや、魍魎もうりょうは、山の精霊
      1. もう
      2. りょう
      3. 「魈」(山魈さんしょう
      4. おにがみ
      5. 「鬽」(すだま)
      6. 「䰡」(①えやみの神。②すだま。)
      7. ひでりがみ
      8. 「魌」(参考:「魌頭きとう」は、鬼っ子ハンターついなちゃんの方相氏ほうそうしのお面の「ディクソン」)
      9. 「魋」(赤熊、神獣のくま)
      10. 「魔」(おにマーラ
      11. 「魊」(子供の鬼)
      12. 「魕」(「𩴪」)(鬼を祭る風習)
      13. 「魖」(「、神きょ也」)
      14. 「魘」(うなされる)
    9. 仮説:比叡山の一つ目小僧(一眼一足法師)は、比叡山の地主神じぬしがみである山の神が落魄した姿
      1. 伝教大師最澄が唐から比叡山延暦寺にもちかえった「遊天台山賦」に記されていた「魑魅」の文字
      2. 比叡山の地主神じぬしがみである大山咋神おおやまくいのかみくい、杖、山の神
      3. 仮説:狩籠岡(狩籠丘)は、比叡山の地主神じぬしがみである山の神霊(魑魅魍魎、山鬼)を祀り、たたりをふせぐための場所
    10. 鳥山石燕とりやま せきえん『今昔画図続百鬼』こんじゃくがずぞくひゃっきに描かれた、一本足・山の精・鬼・酒呑童子
      1. 山精さんせい」と「おに
      2. 酒顚童子しゅてんどうじ(酒呑童子)」と「さとり
    11. 和漢三才図会わかんさんさいずえ』に描かれた、山の精・山鬼・サル・一本足・一つ目の妖怪
      1. 猩猩しょうじょう
      2. 狒狒ひひ
      3. 山𤢖やまわろ
      4. 山精さんせい
      5. ひでりがみ
      6. 魍魎もうりょう
      7. 彭侯こだま
    12. 鳥山石燕とりやま せきえんの『百鬼夜行』に描かれた、一つ目・山の精・サルの妖怪
      1. 山童やまわらわ
      2. 青坊主あおぼうず
      3. 彭侯ほうこう
    13. 『山海経』せんがいきょうに記されたのすがた:「頂上に獣がいる、状は牛の如く、からだあおくて角がなく、足は一つ。」
      1. は、水神であり、龍である
      2. 夔神鼓きじんこをかたどった古代中国の青銅器にみる、太鼓のかたちをしたのすがた
        1. 余談:太鼓と越後(新潟県)の酒呑童子
      3. 余談:古代中国の銅鐸どうたくにかたどられた 文様もんよう
      4. 余談:現代風にアレンジされた上古の神獸 のすがた
    14. 五色ごしきで「サイケなボディーカラー」と「竜王(水神)たる酒呑童子」
  3. むねたたしばりて、まなこいからかす」大猩猩おおしょうじょう(ゴリラ)
    1. オランウータン(猩猩しょうじょう(猩々)、赤猩猩(赤猩々)、紅猩猩フォンシンシン紅毛猩猩フォンマオシンシン
    2. チンパンジー(黒猩猩(黒猩々)、黑猩猩ヘイシンシン
  4. てんひとしきおおいなるひじり」(斉天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくう)の原型、白猿(ハヌマンラングール)
    1. 無支祁むしき
  5. 「これ好奇のかけらなり、となむ語り伝へたるとや。」

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脚注
  1. 五色ごしき鬼王きおうサイケデリックエイプ)」という言葉は、この画像に筆者(倉田幸暢)がつけた言葉です。 [↩ Back]
  2. 画像の出典:"Glass Lillies" by FHG Photo on Flickr (License: CC BY 2.0). [↩ Back]
  3. 出典:郭璞かくはく「山海経序」, 高馬三良(翻訳), (1994年), 『山海経:中国古代の神話世界』, 平凡社ライブラリー, 平凡社, 9ページ. [↩ Back]
  4. 山魈さんしょうマンドリルMandrill))[↩ Back]
  5. 画像の出典:"Mandrill at Singapore Zoo" by Robert Young on Wikimedia Commons (License: CC BY 2.0). [↩ Back]
  6. 香取本『大江山絵詞』下巻 第六段 詞書ことばがき(絵巻の原本の現状). [↩ Back]
  7. 大猩猩おおしょうじょう(大猩々)(ゴリラ[↩ Back]
  8. 画像の出典:"Gorilla" by Scott Calleja on Flickr (License: CC BY 2.0). [↩ Back]
  9. 香取本『大江山絵詞』上巻 第三段 詞書ことばがき(絵巻の原本の現状). [↩ Back]
  10. 『白猿伝』の白猿のモデルとなったハヌマンラングールGray langur(Hanuman langur))(印度灰叶猴(哈努曼叶猴)[↩ Back]
  11. 画像の出典:"Gray Langur, Jim Corbett National Park, India." by _paVan_ on Flickr (License: CC BY 2.0). [↩ Back]
  12. 出典:貝原篤信(貝原益軒)(編録) 「丹波 丹後」, 「【山陰道】」, 『扶桑記勝 巻之六』, 貝原益軒(著者), 益軒会(編纂), (1911年), 『益軒全集 巻7』, 益軒全集刊行部, 480ページ. [↩ Back]
  13. この引用文では、原文のなかの「白猿傳」という漢字表記(旧字体)を、「白猿伝」という漢字表記(新字体)に直しています。[↩ Back]
  14. 童子しゅてんどうじ童子しゅてんどうじ[↩ Back]

鬼王巡礼:酒呑童子八千箇所めぐり(酒呑童子やちかしょめぐり)

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

経巡り(へめぐり) (*1)

 巡礼者は、また文化や情報の伝播者でもあった。四国には遠方からの遍路が伝授していったという漢方的な治療法とかおきゅうといったものがいまにまで伝えられているし、中世ヨーロッパの巡礼路網がロマネスク芸術様式の伝播に大きく寄与したことはよく知られている。
 このように巡礼は、単に宗教儀礼というだけでなく、広く社会経済的・文化的影響力をもつものであるから、さまざまな角度から考察することが肝要である。

―― 星野英紀「巡礼の社会的・文化的役割」 (*2) (*3)

「鬼王巡礼:酒呑童子八千箇所やちかしょめぐり」の地図


「鬼王巡礼:酒呑童子八千箇所やちかしょめぐり」の地図
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〔開く〕地図上のマークの説明

以下は、この地図のなかに表示されているマーク(アイコン)の説明です。色の種類ごとに、また、マーク(アイコン)の種類ごとに、つぎのような意味をもたせています。

  • 「ピン」のマーク(通常のマーク):酒呑童子にゆかりのある名所旧跡(直接的・間接的なゆかりのある場所や、私見などもふくみます)。
  • 「★」(星)のマーク:酒呑童子にゆかりのあるとくに重要な名所旧跡。
  • 「パルテノン神殿」のマーク:博物館や、美術館、資料館、劇場、観光案内所、などの施設。
  • 「?」(はてな)のマーク:所在地不明の名所旧跡の推定地。
  • 「双眼鏡」のマーク:酒呑童子に直接的なゆかりがある場所ではないのですが、おとずれてみていただくとおもしろいかもしれない名所旧跡。
  • 「家」のマーク:観光案内所などの施設。
  • 「i」のマーク:道標や道案内の地図や看板など。
  • 「徒歩の人」のマーク:経路や、経路の入口など。
  • 「ベッド」のマーク:宿泊施設。
  • 「ナイフとフォーク」のマーク:飲食店。

  • 青色:まだ未踏査の名所旧跡。
  • オレンジ色:すでに踏査済みの名所旧跡。
  • 赤色:すでに踏査済みのとくに重要な名所旧跡。
  • 緑色:そのほかのすでに踏査済みの場所。
  • 灰色:道標や交通機関などの補助的な場所。

この記事で紹介しているさまざまな名所旧跡は、酒呑童子の説話や伝説になんらかのかかわりがあると、ぼくがかんがえている場所です。ぼくは、「酒呑童子説話」という研究テーマをできるだけ広い視野でとらえたいとおもっています。ですので、ここで紹介する名所旧跡のなかには、一見すると「酒呑童子となんの関係もないんじゃないの?」とおもえるような場所もふくまれているとおもいます。ですが、そのような場所も、じつは、 見えないところで酒呑童子とつながっていたりします。また、ここで紹介している名所旧跡の選定基準には、ぼくが研究をとおして得た独自の考えや、個人的なおもいいれが反映されているところもありますので、ご了承いただければとおもいます。

「鬼王巡礼」という言葉や、「酒呑童子八千箇所やちかしょめぐり」という言葉は、ぼくがつくった造語です。この「八千箇所めぐり」(やちかしょめぐり)という言葉のなかの、「八千」(やち)という言葉は、「とても数が多い」という意味の比喩表現です(「8000」という具体的な数字を意味しているわけではないのです)。実際に、酒呑童子ゆかりの場所は、ものすごくたくさんあります。その「たくさんある」ということをあらわすために、「八千」(やち)という言葉をつかって表現しています。ですので、「酒呑童子八千箇所やちかしょめぐり」という言葉の意味は、「酒呑童子にゆかりのあるとてもたくさんの場所をめぐる」という意味です(「8000ヶ所をめぐる」という意味ではないのです)。

これらの酒呑童子にゆかりのある各所をおとずれることは、ある意味、霊場めぐり、札所めぐり、霊地巡礼、聖地巡礼、などにちかいものなのかもしれません。もし興味があれば、これらの場所をめぐりながら、酒呑童子におもいをめぐらせる経巡りへめぐりの旅にでてみるのもいいかもしれません。

(※注:このページのなかの記述は、研究の進捗や、情報公開のための準備作業の進捗などにあわせて、随時、内容を追加・変更・修正しています。そのため、記述が増えたり減ったりすることがありますので、あらかじめご了承ください。)

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脚注
  1. 経巡るへめぐる」(画像の出典:background photo by tycoon101 on Envato Elements). [↩ Back]
  2. 出典:星野英紀 (1986年) 「〔巡礼の社会的・文化的役割〕」, 「巡礼 じゅんれい」, 『日本大百科全書 11 (してーしようし)』, 小学館, 769~770ページ. [↩ Back]
  3. 参考:星野英紀 「巡礼の社会的・文化的役割」, 「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」, 「巡礼(じゅんれい)とは - コトバンク」, 2019年9月14日閲覧. [↩ Back]

酒呑童子の絵巻物を、みんなで修復して、 みんなで共有しよう

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

上掲の画像は、「江戸時代の酒呑童子の絵巻物を、みんなで修復して、 みんなで共有しよう」というクラウドファンディングのプロジェクトについての画像です。ここでは、このクラウドファンディングのプロジェクトについて、ご紹介したいとおもいます。

ぼくは、いま、『大江山絵詞』(おおえやまえことば)と呼ばれる絵巻物に描かれている酒呑童子(酒天童子)の説話について研究しています。『大江山絵詞』の絵巻物は、鎌倉時代~南北朝時代(室町時代前半)ごろにつくられたとされている、現存最古の酒呑童子説話をつたえる絵巻物です。『大江山絵詞』は、もともと、香取神宮に所蔵されていたものなので、通称として「香取本」(かとりぼん)とも呼ばれます。 (ちなみに、『大江山絵詞』(香取本)の詳細については、こちらのブログ記事で紹介しています。)

『大江山絵詞』は、酒呑童子説話についての現存最古の文献・文化財です。ですが、酒呑童子説話についての文献や芸術品は、これ以外にもたくさんあります。酒呑童子の説話は、中世から現在までの約600年以上の長い歴史のなかで、絵画や、文学、能楽(謡曲)、浄瑠璃、歌舞伎、演劇、唱歌・楽曲、映画、マンガ、アニメ、ゲームなどなど、数え切れないほどたくさんの文化や芸術に取り入れられてきました。それらのなかには、文化財として、とても価値が高いものもたくさんあります。

そうした酒呑童子説話をつたえる文献・芸術品のひとつに、現在、立命館大学アート・リサーチセンターに所蔵されている、『酒呑童子絵巻』と呼ばれる5巻の絵巻物があります。この絵巻物は、江戸時代前半の1650年ごろに、京都で作られたと推定されているそうです。

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脚注
  1. キャプチャ画像に写っているウェブページ:数奇な運命をたどった「酒呑童子絵巻」を修復し、 "みんな" で共有・活用したい。 | ブルーバックスアウトリーチ | 講談社.[↩ Back]

図書館様さまサマー2019! (o≧ω≦)O

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

最近、図書館で借りた本のみなさま

最近、図書館で借りた本のおかげで、いま取り組んでいる、『大江山絵詞』(おおえやまえことば)という絵巻物に描かれている酒呑童子(酒天童子)の説話についての研究が、おもいがけず、もんのすっごい進展しました。それまで欠けていた、いくつかの「ミッシングリンク」が埋まって、展望がおおきく広がりました。

そんなこんなで、いまの気分は、「図書館様さまサマー2019!」といったかんじです!
(o≧ω≦)O

それが、めちゃくちゃうれしくて、「ありがたし!」な気持ちがおさえきれなかったので、いきおいあまって、それらの本のみなさまをご紹介したいとおもいます。下記がそれらの本のリストです。

  • 『祈雨・宝珠・龍:中世真言密教の深層』スティーブン・トレンソン
  • 『社寺境内図資料集成 2 (国立歴史民俗博物館資料調査報告書:情報資料研究部 12)』国立歴史民俗博物館
  • 『密教の象徴世界』八田幸雄
  • 『近畿霊山と修験道(山岳宗教史研究叢書 11)』五来重(編者)
  • 『比叡山』梶原学(梶原學)(写真:菊池東太)
  • 『新編日本古典文学全集 55』(『太平記』巻第十二~巻第二十)長谷川端(校注・訳)
最近、図書館で借りた本のみなさま

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「ほかの人と分かちあえば、ほかの人もまた、いいことを教えてくれるだろう。そうすれば、みんながよくなる!」

By Yukinobu Kurata (倉田幸暢)

Southern Lights.jpg by NASA's Earth Observatory on Wikimedia Commons

「虹の彼方に」 (*1)

 「大事な発見は、自分ひとりだけで
  しまっておいてはいけないよ」
 
とビッケは言います。
 
 「かくしておいたら、何も進歩しないもの。
  ほかの人と分かちあえば、ほかの人もまた、
  いいことを教えてくれるだろう。
  そうすれば、みんながよくなる!」
 
・・・・・・デキた子やなぁ。彼には多くの人々に貢献する気持ちがあるのです。その「人々」には、父ハルバルと対立している敵さえも含まれます。ビッケの最もステキなところです。

―― 幸村誠『ヴィンランド・サガ』第17巻 (*2)

 

専門知識は、それだけでは断片にすぎない。不毛である。専門家の産出物は、ほかの専門家の産出物と統合されて初めて成果となる。

―― ピーター・ドラッカー「知識ある者の責任」, 『プロフェッショナルの条件』 (*3)

 

人類の交換と専門化がこの地球のどこかで続く限り、指導者が手を貸そうが邪魔立てしようが文化は進化する。その結果、繁栄は拡大し、テクノロジーが発達し、貧困は減り、疾病が勢いを失い、人口増加は収まり、幸福が増し、暴力が減り、自由が栄え、知識が豊かになり、環境が改善し、原野が拡大する。

―― マット・リドレー「無限の可能性」, 『繁栄』 (*4)

 

「人の一生は短い。
 
 それひとつでは意味をなさない一瞬の "光" だ。
 
 だから人を愛せ。
 
 絶望する前に、いまできる最善のことを見つけろ。
 
 そうして連なり、響きあった時に、
  "光" は初めて意味をなす」

―― サイアム・ビストの言葉 『機動戦士ガンダムUC』 (*5)

 

「運命の果実を一緒に食べよう」

―― 『輪るピングドラム』 (*6)

 

『大日本仏教全書』や、群書類従ぐんしょるいじゅう近江輿地志略おうみよちしりゃく大正新修大蔵経たいしょうしんしゅうだいぞうきょうなどなどの、たくさんの人たちの、たくさんの叡智を積み上げることでつくられた、すばらしい本の数々に触れていると、「この社会って、めちゃくちゃすばらしいところだな!!!」とかんじます。
(o≧ω≦)O

これらの本は、その内容が電子データとして公開されていて、インターネットで誰でも自由に閲覧することができるようになっています。

そうした、「みんなの力をあわせてつくったものを、みんなでわかちあう」という現象にふれていると、こころの奥底から熱いものがわきあがってきて、胸のBPMが高鳴りまくってしょうがない、やる気MAXファイヤーな状態になります。

そんなこんなで、興奮冷めやらないかんじなので、そのいきおいで、これらの本の紹介をしたいとおもいます。

また、「みんなの力をあわせてつくったものを、みんなでわかちあう」という現象にふれているときに、胸をよぎる言葉も紹介したいとおもいます。

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脚注
  1. 画像の出典:「虹の彼方に」. Southern Lights.jpg by NASA's Earth Observatory on Wikimedia Commons.[↩ Back]
  2. 幸村誠 (2016年) 『ヴィンランド・サガ』第17巻(冊子版), アフタヌーンKC, 講談社, 冊子のカバーの「そで」(折り返し)のところに掲載されている著者による文章より.[↩ Back]
  3. ピーター・F・ドラッカー(著者), 上田惇生(翻訳, 編集) (2000年) 「知識ある者の責任」, 「3章 貢献を重視する」, 「Part2 働くことの意味が変わった」, 『プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか』, ダイヤモンド社, 88ページより.[↩ Back]
  4. マット・リドレー(著者), 大田直子(翻訳), 鍛原多惠子(翻訳), 柴田裕之(翻訳) (2013年) 「無限の可能性」, 「第8章 発明の発明:1800年以降の収穫逓増」, 『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』(文庫版), ハヤカワ・ノンフィクション文庫, 早川書房, 544ページより.[↩ Back]
  5. (サイアム・ビストの言葉、著者:福井晴敏、『機動戦士ガンダムUC (10) 虹の彼方に (下)』(小説)、角川書店(角川グループパブリッシング)、角川コミックス・エース、2009年、116ページ)[↩ Back]
  6. 『輪るピングドラム』の最終話「第24駅 愛してる」より.[↩ Back]

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